「撞舞」継承へクラウドファンディング 保存会、3日から募集 茨城・龍ケ崎 会場設営や人材育成

「撞舞」で矢を構える舞男=2019年、龍ケ崎市内

茨城県龍ケ崎市が誇る伝統芸能「撞舞(つくまい)」の開催が7月23日の夕方に決まり、継承を担う市撞舞保存会は、会場設営や人材育成に役立てようとクラウドファンディング(CF)に乗り出す。行事を支える地元住民らの高齢化やコロナ禍で、保存会は撞舞の相伝に危機感を抱いており、次世代に奇祭をつないでいこうと、ネットで6月3日から募る。

撞舞は、国選択・県指定無形民俗文化財で、例年7月下旬に披露。450年もの歴史があるとされ、高さ14メートルの柱の上で、アマガエルを装った「舞男(まいおとこ)」と呼ばれる男性が、五穀豊穣(ほうじょう)や疫病よけを願い四方に向かって矢を放つ。柱の上での逆立ちなど軽業も繰り広げられる。市立龍ケ崎小近くの通りが会場だ。保存会の会費、企業・団体の寄付、地域住民の分担金、市の交付金で費用を賄う。例年の必要経費は300万~400万円。

CFの目標額は100万円。7月22日までサイト「キャンプファイヤー」で受け付ける。金額に応じた返礼品として、観覧席への招待、グッズへの企業・団体名掲載、ご当地グルメ「龍ケ崎コロッケ」の引換券、市物産品のセットなどを用意する。個人は千(学生限定)~1万円、企業・団体は1万~10万円の範囲で支援できる。保存会事務局への持ち込みも可能だ。

新型コロナの感染拡大により、2020、21年の撞舞は中止。22年に3年ぶりに挙行した際は、空白からスムーズな運営などに課題を残したという。保存会はCFを通し、撞舞の周知を市内外で進めつつ、安定した開催に結び付けたい考え。龍ケ崎鳶(とび)職組合が送り出す舞男の育成のほか、予備の衣装制作にも支援金を充てるとしている。撞舞の練習は4日から7月16日までの間、市役所駐車場で予定する。

保存会の瀬尾雄三会長(81)はCFについて「新型コロナで2年も撞舞ができなかった中でも、舞男は練習に励んできた。途絶えさせるわけにはいかず、世代を超えて残したい」と語った。問い合わせは保存会事務局の市商工観光課(電)0297(60)1536。

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