“越境通学者”続々…『ゆるキャン△』聖地で最大規模イベント「本栖高校文化祭2023」

5月27、28日の2日間、人気漫画『ゆるキャン△』のモデル地となった山梨県身延町の旧下部小学校・中学校(以下、旧下部小・中)で『ゆるキャン△』の世界や峡南地域のグルメや特産物などを楽しめるイベント「本栖高校文化祭2023」が開催され、作品のファンなどで賑わいました。

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2度目の開催となった「本栖高校文化祭」

実写ドラマのロケ地にもなった旧下部小中学校が会場

会場となった旧下部小・中は、アニメ版『ゆるキャン△』で主人公らの通う「本栖高校」の立地する場所のモデルとなっているほか、実写ドラマ版では、校舎跡がロケ地として使われるなどしていて、いわゆる“聖地巡礼”のスポットとして、作品のファンらが多数訪れる場所となっています。

こうした中、地元の有志らでつくる「五条ヶ丘活性化推進協議会」が、2018年夏頃から学校跡地を活用して地域を活性化しようと、キャンプイベントを中心に数多くの催しを行っていて、今回行われた「本栖高校文化祭」は、そうしたイベントの中でも最大規模のものに位置付けられています。

ファン歓喜!1年ぶりとなる校舎内部の公開

2022年5、6月にかけて初めて行われ、今年で2回目の開催となった「本栖高校文化祭」では、前年に引き続き、実写ドラマ『ゆるキャン△』のロケが行われた旧下部中学校校舎の見学会が行われました。

校舎が一般公開されるのは、2022年の「本栖高校文化祭」以来1年ぶりで、撮影に使用された図書室や主人公らの所属するサークル「野外活動サークル」の部室のロケセットなどを写真に収めようと、たくさんのファンが列を作りました。

また、校舎2階にある家庭科室には、これまでに身延町や周辺自治体などが『ゆるキャン△』とコラボした際に作成した貴重なポスター類をはじめ、作品の資料やグッズが所せましと並び、ファンを喜ばせていました。

物販ブースには静岡県からも『ゆるキャン△』ゆかりの店が

1年ぶりとなった校舎の一般公開は、「本栖高校文化祭」の大きな目玉に違いありませんが、おいしいグルメや地域の特産品などが集まった校庭の物販・飲食ブースもこのイベントの大きな魅力です。

地元・峡南地域からの出店が大半でしたが、お隣・静岡県からも沼津市の「サスナカ長澤水産」と伊東市の「いなば肉店」の2店が出店していました。「いなば肉店」は『ゆるキャン△』作中に店の看板商品である“伊東のみそ漬け”が“伊豆の味噌漬”として登場していて、作品ファンにはおなじみの店です。

静岡県からかなりの数の来場者?

イベントの出店者だけでなく、来場者にも静岡県の存在感がありました。「本栖高校文化祭」では、校庭を使ったキャンプイベントも行われましたが、主催者によると静岡県からの“越境通学者”が10人以上にのぼったということです。そのほかの来場者も、駐車場に置かれた車のナンバーを見ると、西は「浜松」から東は「伊豆」まで、静岡県内のナンバーがズラリ。

中部横断道の静岡ー山梨間が全線開通したこともあり、峡南地域が静岡県民にとって身近な場所になっていることはもちろんですが、静岡県も山梨県に継ぐ主要な舞台となっている『ゆるキャン△』への静岡県民の高い関心がうかがわれます。

『ゆるキャン△』ファン以外も楽めるイベントへ

このほか、校庭では『ゆるキャン△』のラッピングが施されたキャンピングトレーラーの展示、体育館ではスピンオフ作品『へやキャン△』の上映会が行われるなど、ファンが楽しめるプログラムが盛りだくさんとなっていましたが、作品のことを知らない人にも楽しんでもらえるイベントにしようという主催者「五条ヶ丘活性化推進協議会」の想いと工夫が随所に見てとれました。

会場には「五条ヶ丘活性化推進協議会」のメンバーが運営する子ども向けの射的コーナーなども並び、『ゆるキャン△』のファン層に留まらず、家族連れの姿も目立ちました。

また、地域の特産品であるハンコ作りや西嶋和紙の紙すき体験などの無料のワークショップも開かれ、『ゆるキャン△』という“きっかけ”で足を運んだファンたちに、地域の魅力を知ってもらうためのプログラムも多数用意されていました。

「五条ヶ丘活性化推進協議会」の担当者は「『ゆるキャン△』関係なく、お祭だから来てくれているという人もいる。ファンを大切にしながらも、地域の魅力で成り立つイベントとして、今後も定着していけばうれしい」と話していました。来場者は第1回の2022年を大幅に上回る約2,500人だったということです。

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