トヨタやパナ、SBは選ばれず…優良銘柄を選定した【JPXプライム150指数】上位10銘柄は?

JPX総研が公表した新指数「JPXプライム150指数」の構成銘柄や算出要領が、5月26日(金)に発表となりました。今回は、株価指数の概要と代表的な各国の株価指数、投資家としての株価指数の意義、そしてJPXプライム150指数についてお伝えします。


株価指数の意義

株価指数とは、特定の株式市場の銘柄群の相対的な変動を示す指標です。投資家にとって株価指数は、市場動向を把握するための重要な指標です。

株価指数は、銘柄の株価や時価総額の変動を基に算出され、その動きによって市場全体のトレンドを把握することができます。このことから、市場全体のパフォーマンスを示すために用いられることが多いです。

以下は、各国の代表的な株価指数です。

  • アメリカ:ダウ・ジョーンズ工業株価平均、S&P 500、ナスダック総合指数
  • 日本:日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)
  • イギリス:FTSE 100
  • ドイツ:ドイツ株価指数
  • 中国:上海総合指数(上海証券取引所)、深セン成指(深セン証券取引所)

株価指数には、主に以下3つの意義があります。

(1)市場全体のトレンド把握
株価指数は市場全体の動向を反映するため、株式市場全体のトレンドを把握する上で有用な情報源となります。株価指数の上昇や下降は、市場の健全性や景気の動向を示す手がかりとなります。各国の指数を比較することで、各国の経済の状況がどうなのかを探ることもできます。

(2)ポートフォリオの評価
株価指数は、ポートフォリオのパフォーマンスを評価する上でも役立ちます。ポートフォリオの成績が株価指数を上回っている場合、優れたパフォーマンスを達成していることを示します。

(3)マーケットの予測とリスク管理
株価指数は市場動向を反映するので、株価指数の動きを分析することで将来のマーケットの予測に役立てることができます。またリスク管理の観点から、株価指数の変動によってポートフォリオの分散やヘッジなどの対策を講じることができます。

株価指数は市場全体のパフォーマンスを示す指標であり、投資家にとって重要な情報源です。
代表的な各国の株価指数は、市場動向を把握する上で役立ち、これらの指数を活用して投資戦略の立案やポートフォリオの評価、リスク管理などを行うことができます。
株価指数は、市場のトレンドやパフォーマンスの評価において重要な役割を果たす、投資家にとって不可欠な情報といえます。

新指数「JPXプライム150指数」とは

ここからは、冒頭に触れた新たな指数「JPXプライム150指数」についてお伝えします。

JPXプライム150指数は、「価値創造が推定される我が国日本を代表する企業」で構成される指数というのがコンセプトです。以前、東証によるPBR1倍割れ企業に対しての勧告や取り組みについてお伝えしましたが、東証プライム市場でPBR1倍割れの上場企業は約半数ある状況のなかで、東証プライム市場に上場する時価総額上位500銘柄のなかから、資本収益性と市場評価の2つの条件で75銘柄ずつ選定された銘柄がJPXプライム150指数に組み込まれているとのことです。

選定の際、上場維持基準を満たしていなかったり、整理銘柄や特設注意市場銘柄は除外されているようです。スクリーニングの条件について少し詳しく掘り下げると、資本収益性については「エクイティ・スプレッド」、市場評価については「PBR(株価純資産倍率)」を指標としてそれぞれ採用しているとのことです。

エクイティ・スプレッドとは、どれだけ効率的なビジネスができているかを測る指標である株主資本利益率(ROE)と、株主資本コストを引いた差で表されるもので、ROE > 株主資本コストの時、つまりエクイティ・スプレッドがの正の値のときに株主価値がある、といえます。JPXプライム150指数では当期と一期前の推定エクイティ・スプレッドが正の値かつROEが8%超の銘柄のなかで、上位75銘柄が選定されます。

PBRは、「株価 ÷ 1株あたり純資産」で算出されます。この比率は、株価が企業の実態に対してどれだけの割合で評価されているかを示す指標となります。PBRが1より小さい場合、株価が企業の純資産価値に対して割安であることを意味します。JPXプライム150指数では、当期と一期前のPBRの平均値がどちらも1倍を超える銘柄で、エクイティ・スプレッド基準で選ばれた銘柄以外の銘柄の上場時価総額上位75銘柄を選定します。

つまり、JPXプライム150指数には東証が考える日本企業の価値創造を体現している優良銘柄が組み入れられている、とも言えるのではないでしょうか。では実際にJPXプライム150指数の採用銘柄を見てみますと、上位10銘柄は以下の銘柄です。

  • ソニー(6758)
  • キーエンス(6861)、
  • NTT(9432)
  • 第一三共(4568)
  • 武田薬品工業(4502)
  • 日立製作所(6501)
  • 任天堂(7974)
  • 東京エレクトロン(8035)
  • KDDI(9433)
  • HOYA(7741)

TOPIXの組み入れ1位銘柄であるトヨタ自動車(7203)は含まれていません。また、パナソニックHD(6752)やソフトバンクG(9984)、三井住友フィナンシャルG(8316)などのメガバンクも含まれていません。なお初回の定期入替は、2024年8月に行われる予定です。

最後にJPXプライム150指数を金融商品の組成・売出しや第三者提供などで利用する場合、JPX総研とのライセンス契約の締結が必要となるのですが、そのライセンス申込受付期間が2023年5月26日(金)から2023年6月30日(金)までとなっています。JPXプライム150指数をベンチマークとしたETFや投資信託の誕生も楽しみに待ちたいですね。

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