<南風>後悔ばかりの日々

 「ああしておけば良かった」。後悔という2文字で表すこの感情について書こうと思う。人は日々、いやさらに細かい1分1秒、さらには刹那という単位に至って選択を繰り返している。立つか座るか歩くか走るか全てにおいて選択をし続けている生き物だ。そして過ぎ去った時間に対しての後悔に常に包まれている生き物だとも思う。満たされている時間だけは、その後悔から解き放たれているものの、少しでも満ちていない感情があると、心のどこかで「違う選択をしていれば」と思ってしまうものだ。

 だから私は「後悔しない方を選べ」よりも「味わいたい後悔を選べ」と人に言う。それは、きっとどの選択をしても何かしらの後悔はつきまとうのだろうという思いがあるからでもあるし、自分自身が後悔しない方を選び続けているかということに対して1ミリも自信を持つことができないからということも理由としてある。どうせ味わう後悔ならば、AとBどちらの後悔を味わいにいくか。この思考こそを、意思決定に生かせる材料としてこの記事を読むあなたにお勧めしたい。

 全12回の「南風」。最終回を目前に、後悔してばかりだ。もっと一貫性のある内容にした方が良かった。スケジュール管理をきっちりして締め切りに間に合わすことができていれば担当者にも迷惑をかけなかった、など。ただ、もし執筆を引き受けていなかったとしたら、きっとこれまで書いてきた言葉や思考に出合わなかったものもあるだろう、いつも優しい担当の方にも出会わず、熱く届くありがたい激励の言葉たちにも出合わなかった。そう思うと、「あちらの後悔」よりも「こちらの後悔」に飛び込み執筆を引き受けて良かったなと心から思う。

 後悔先に立たず、否、後悔いつ何時でも立つ。どちらの後悔をあなたは味わいたいか。(岩倉千花、empty共同代表)

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