「用の美」生命感と力強さ 茨城・筑西 民芸の仲間展、3日開幕

企画展に展示された濱田庄司の「白釉黒流掛大鉢」(左)=筑西市大塚

日常の生活道具に美を見いだす「民芸運動」に携わった作家たちの企画展「受け継がれる『用の美』-民芸の仲間たち展」が3日、茨城県筑西市大塚の廣澤美術館で始まる。民芸運動を起こした陶芸家の濱田庄司(1894~1978年)や河井寛次郎(1890~1966年)ら草創期の作家を中心に、陶芸や版画など約90点がそろう。同美術館は「あふれる生命感と力強い美しさに注目」としている。

作品はいずれも同美術館を運営する広沢グループの広沢清会長のコレクション。開幕を控えた2日、内覧会が開かれた。

民芸運動は1926年、思想家の柳宗悦(1889~1961年)や濱田、河井らによって提唱された。当時の工芸界は華美な装飾を施した鑑賞用が主流だったが、民芸運動では無名の職人による日常の生活道具の美しさに特に着目した。

展示作品では、濱田の「白釉(しろゆう)黒流掛(くろながしがけ)大鉢(おおばち)」や、河井の「呉洲(ごす)草花(そうか)扁壺(へんこ)」が見どころ。濱田の大鉢は、白色の鉢に黒色の釉薬をひしゃくで流しかけて描かれた、しま模様が大きな特徴。濱田の代表的な技法で、重厚感ある作風に仕上がっている。英国人陶芸家、バーナード・リーチ(1887~1979年)の「ガレナ釉(ゆう)大鉢(おおばち)」は、英国の伝統陶器「スリップウェア」の化粧土で装飾する技法と日本の陶器を融合させている。

広報担当で広沢商事(同市)の田原一哉観光部長(63)は「民芸を主導した巨匠たちが大集合した企画展。ぜひ見てほしい」と話した。会期は7月30日まで。

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