CO2資源化へ議論 茨城大が研究組織設立シンポ 日立

カーボンリサイクル技術について議論したシンポジウム=日立市幸町

4月に立ち上げられた茨城大「カーボンリサイクルエネルギー研究センター」のキックオフシンポジウムが2日、茨城県日立市幸町の日立シビックセンターで開かれた。二酸化炭素(CO2)を資源として活用するカーボンリサイクル技術に関し、同大内外の研究者が次世代自動車技術をテーマに意見交換。約500人が参加した。

センターは今春、同大日立キャンパス(同市中成沢町)に開設。大気中のCO2の回収や、CO2と水素を原料とする燃料の合成、燃料の効率的な利用の3分野で、一貫した流れで研究を行う。外部と連携しながら技術の確立を目指している。

田中光太郎センター長は「各分野の技術をつなぐ上で1カ所で研究を行う意義は大きい」と開設意義を強調。大気中のCO2を直接回収する技術「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」の社会実装に向け、吸着材の性能向上に取り組んでいることを報告した。

パネルディスカッションでは、CO2を合成した液体燃料の必要性が話題に上がった。越光男東大名誉教授が「回収したCO2は燃料に戻すか地下に埋めるしかない。炭素バランスからみて液体燃料に行かざるを得ない」と述べた。

自動車行政に詳しい大聖泰弘早稲田大名誉教授は「既存のインフラやエンジン技術などが活用でき、利便性が大きい」と指摘。トヨタ自動車の中田浩一部長は「電気の効率の良さも捨て切れない。電気と燃料の両方を考えながらやっていくのが重要かと思う」と語った。

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