青森県婚姻率 全国44位/直近5年で低位続く 出生と強く関連

県のマッチングシステム利用登録に向けた面談のイメージ。結婚への関心を高める事業と合わせ、婚姻率の上昇を目指す(県提供)

 厚生労働省が2日公表した2022年の人口動態統計(概数)によると、青森県の婚姻件数は3656組で、21年に比べ80組減少した。人口千人当たりの婚姻件数を示す婚姻率は、21年と同値の3.1組。47都道府県別では山形県と並ぶ44位にとどまった。人口動態の指標のうち、婚姻と出生には強い関連性があるとされるが、青森県の婚姻率は全国の中で低位が続く。人口問題に詳しい識者は「特に若い女性が青森県を選んで住み続けられる環境づくりや、若年層の所得水準を高める取り組みが必要だ」と強調する。

 平成に入った1989年以降の婚姻件数の推移を見ると、2000年ごろまでは年間8千組前後の水準で大きな変動は見られなかった。しかし、00年代前半から減少基調が目立つようになり、10~17年は5千組台、18~20年台は4千組台、21年には4千組を下回った。県は、若年人口の減少や、結婚に関する価値観の変化が影響しているとの見方を示す。

 婚姻率は全国平均よりも低い水準が続く。直近5年の婚姻率を都道府県別に比較すると、青森県の順位は43~45位の間にとどまっている。

 弘前大学人文社会科学部の李永俊教授(労働経済学)は「所得や雇用への不安が若年層の間で高まると、結婚に対するインセンティブ(動機)が弱まる」と経済的な要因を挙げる。加えて、青森県は若年女性の流出が続いていることも、婚姻率が上がらない一因との認識を示す。新型コロナ禍による出会いや交流の場の減少が、さらに拍車をかけているという。

 李教授は「所得水準の向上や、女性が自己実現できる環境づくり、出会いの場を増やすための努力が、民間も含めた社会全体で必要だ」と話す。

 県は、結婚を希望する人同士の出会いを支援するマッチングシステム「AI(あい)であう」を22年10月に始め、これまでにシステムを利用して2組の男女が結婚を決めた。ほかにも結婚への関心を高めるためのイベント開催や、結婚に関する近年のデータを集めた情報発信などの新規事業を通じて「結婚支援の充実に取り組む」としている。

 「AIであう」の運用や、結婚支援に関する事業を手がける「あおもり出会いサポートセンター」の小野康一郎センター長は「早めに行動したいと、比較的若い世代がAIであうに登録する変化が出ている。コロナ禍で中止していた結婚支援イベントを再開する動きもある」と説明。出会いの機会増につなげるため「イベント参加の心理的なハードルを下げる工夫や、結婚を考えている人の背中を押すような取り組みを進めていきたい」と語った。

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