川島雄三の歩みたどる/没60年 むつ市立図書館で企画展/有志「偲ぶ会」 記念誌完成へ

むつ市立図書館で始まった企画展「起点・川島雄三」
撮影に臨む川島雄三(右)(遺族提供)
没後60年を迎えた川島雄三(遺族提供)

 「幕末太陽傳」「洲崎パラダイス赤信号」などの名作を残したむつ市出身の映画監督・川島雄三(1918~63年)は、今年没後60年を迎えた。命日である11日の「雄三忌」に向け、むつ市立図書館で3日、資料展示や作品上映を通じて川島の歩みを振り返る「川島雄三WEEK」が始まった。市民有志でつくる「映画監督川島雄三を偲(しの)ぶ会」は、記念誌を完成させ、節目の年を飾る考えだ。

 44年に監督デビューした川島は、45歳で亡くなるまで51本の作品を撮った。没後60年の今年は首都圏で上映会が行われるなど、今も根強いファンがいる。

 同図書館には常設の記念室があるが、3日からは展示ホールで企画展「起点・川島雄三」を開催。川島の助監督を務めたことがある映画監督山田洋次さんや衣装担当を務めたデザイナー・故森英恵さんをはじめ、川島作品を支えた関係者のパネルや図書を展示し、川島の魅力を多角的に示している。11日まで。

 また同図書館視聴覚ホールでは、9日午後5時から「風船」(56年公開)、10日午後1時からは「幕末太陽傳」(57年公開)を上映する。ともに入場無料で、事前申し込みは必要ない。

 企画を担当した川部小枝華主任主査は「川島は現在活躍している方にもさまざまな影響を及ぼしている。その影響力の大きさを、いろんな視点から感じてほしい」と話した。

 一方、偲ぶ会は11日午後4時から、川島の墓がある同市新町の徳玄寺で毎年開催している墓前祭を行う。

 会は数年前から記念誌の刊行を目指してきたが、新型コロナウイルス禍などの影響で編集作業が進んでこなかった。取材に対し、髙瀨厚太郎会長は年内の完成を目標に「作業をスピードアップさせたい」と話した。その上で「若い人にも川島作品に触れる機会をつくるなど、川島の灯を消さないよう地道に活動を続けたい」と語った。

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