霞ケ浦の恵みを指数化 茨城県策定へ 環境や観光、多面的に

上空から見た霞ケ浦(茨城県提供)

霞ケ浦の豊かな恵みを分かりやすく伝えようと、茨城県は新たな評価指数の策定に乗り出した。見た目やにおいなど県民の「五感」による評価と、霞ケ浦沿岸の食や観光データから霞ケ浦の豊かさを評価する二つの要素で構成される。長年課題となってきた霞ケ浦の水質改善について、より多面的な観点からの指数を設けることで、県民の関心を高める狙いがある。

県環境対策課によると、霞ケ浦の水質は近年、おおむね横ばい傾向。これまでは、湖沼の汚濁指標として使われる化学的酸素要求量(COD)だけで評価されてきた。

新しい評価指数は、県が指定した霞ケ浦周辺の公園や観光地など12地点を実際に訪問したモニターに、湖の景観やごみの量、においなど5項目を各10点満点で評価してもらい、数値化する。指定地点は霞ケ浦総合公園(土浦市)、予科練平和記念館(阿見町)、鹿島海軍航空隊スロープ跡(美浦村)など12地点。新評価は「霞ケ浦ふれあいモニター(仮)」と名付けられ、評価者を定数を設けずに県内外から募る。

そのほか、湖や河川のアオコ発生日数や沿岸地域の農業産出額の合計、つくば霞ケ浦りんりんロードの利用者数など6項目の年間データを基に、各10点満点で霞ケ浦の豊かさを評価し、数値化する。県は2027年度までに策定し、運用したい考えだ。

霞ケ浦は全国で2番目に大きい湖で、西浦、北浦、常陸利根川の3水域で構成される。CODの各水域の平均値は、1979年度に最悪の1リットル当たり11ミリグラムを記録。その後は増減を繰り返しながら少しずつ低下し、2020年度は7.3ミリグラムに落ち着いている。県は23年3月に策定した「霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画(第8期)」で、CODの長期的な達成目標値を、霞ケ浦に湖水浴場があった1960年代と同じ同5ミリグラム前半と掲げている。

策定を前に県はホームページでモニターを随時募集している。参加資格は小学生以上が対象で、中学生以下は保護者の同伴が必要となる。同課は「霞ケ浦を身近に感じてもらい、湖の水質浄化の意識づくりのきっかけになれば」と話している。

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