若者をターゲットにした「これまでにない大河」で奮闘する松本潤

嵐の松本潤が主演するNHKの大河ドラマ「どうする家康」がギリギリのところで踏ん張っている。納得のいく数字ではないものの、松潤でなかったらどうなっていたのかと、人気の高さに安堵する声も上がり始めているという。

小国に生まれながら乱世で奮闘し、江戸幕府を開いた徳川家康の生涯を描いた今回の大河。歴史モノでは王道中の王道だが、視聴率としてはいま一つ振るわず。3月12日のWBCの開催に重なった第10話の7・2%を除いても、第17話では10・1%、第20話では10・4%と、いつ一けたに落ちてもおかしくない状況になっている。

ある制作会社関係者は「これまでの大河とは全く違った視点で描いています。それこそ織田・徳川の連合軍が浅井・朝倉連合軍から挟み撃ちに合うことを知らされ、信長が金ヶ崎からの撤退を決断。これから“金ヶ崎の退き口”が始まるかと思えばナレーションで戦いが一瞬で終わるという肩透かし。かと思えば、浅井が裏切るということを信長の妹のお市が侍女を使って知らせるという全段階では一話を丸々使ってみたりと、これまでにない家康を描いている」。

この「これまでにない大河」の脚本がフジテレビの「リーガル・ハイ」や「コンフィデンスマンJP」で知られる古沢良太氏だが、この起用にはNHKの「若い人に見てもらいたい」という思惑があるからだ。「いまのNHKは高齢者よりも、これから受信料を払ってもらいたい若者に見てもらえる物を作るということに方向性を定めています。だから大河も若者に見てほしいという視点で作っているため、これまでの大河の王道のような戦のシーンが少なく、松潤の家康をめぐっての側室や侍女の話で1話を使ったりするんです」と同関係者。

もちろん若者をターゲットにすれば、いままで大河の視聴率を支えてきた高齢者が離れてしまいがち。「それがいま一つ上がらない視聴率に出ているといって良いのでしょう。やっぱり大河ファンからすれば、我々は何を見させられているんだとポカンとするシーンも多いみたいです。ただ、それでも一けたに落ち込まないのは、松潤だからじゃないかと見直されているんです。もし嵐のような人気グループのメンバーでなければ、かなり早い段階で、一けたを彷徨っていたんじゃないかと局内でも言われ始めてます」と同関係者。

若者をターゲットにしたからこそ、松潤の起用でもあったのだろうが、ギリギリ保っていけるのも松潤がいてこそなのだろう。

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