中国、米安保戦略を批判し対抗 国防相会談拒否、米制裁が要因か

アジア安全保障会議で演説する中国の李尚福国務委員兼国防相=4日、シンガポール(共同)

 【シンガポール共同】中国の李尚福国務委員兼国防相は4日、シンガポールでのアジア安全保障会議で演説し、米国のインド太平洋戦略が「地域の緊張を高めている」と批判、中国がこれに対抗して国際秩序構築を主導する決意を表明した。米中関係安定に向け米側の「行動」を要求。安保会議は米中国防相会談が実現しないまま閉幕した。台湾海峡では両国の軍艦が異常接近し、米中対立が深まった。

 李氏は同戦略が「排他的な軍事同盟」を構築して、アジア太平洋版のNATOの形成を推進していると非難。米国による中国包囲網の強化に反発した。

 米中が「衝突すれば世界は耐えられない苦痛を受ける」と述べ、関係安定の重要性を訴えつつ「米側が誠意を持って言行を一致させ、実際の行動で中国と共に進むべきだ」と迫った。中国は米国が要請した正式な米中国防相会談を拒否。米国がロシアからの武器調達を巡り李氏に科した制裁が要因とみられる。

 オースティン米国防長官は3日に台湾海峡の安定に決意を示したが、李氏は台湾問題を巡る「内政干渉を認めない」と強調した。

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