茨城県内豪雨 取手市双葉地区 浸水ほぼ解消、後片付け始まる

浸水から一夜明けた取手市双葉の住宅街で、水没し動けなくなった車両を運び出す消防団員たち=4日午後1時10分(画像の一部を加工しています)

■住民「人手足りない」

台風2号や前線の影響による記録的な大雨から一夜明けた4日、茨城県取手市双葉地区の浸水がほぼ解消し、本格的な後片付け作業が始まった。同市の浸水被害は床上、床下を含め計601件に上っており、同地区に集中。住民たちは水に漬かった家具の運び出しや家屋内や庭にたまった泥の掃き出し作業などに追われた。

県防災・危機管理課によると、4日午後6時現在、県内の浸水被害は、床上浸水が同市や土浦市、茨城町など8市町で計451件、床下浸水は13市町で計208件。このうち多くは取手市で、床上浸水が436件、床下浸水は165件に上り、17世帯29人が避難所生活を送っている。

道路冠水などの被害は、つくばみらい市や稲敷市など県南西地域を中心に123カ所。国道408号と県道9路線では、同日午後4時15分現在、路面冠水やのり面崩落などで一部通行止めとなっている。

広範囲にわたって家屋や道路が浸水した取手市双葉地区では同日午前、水が引かない一部エリアに対し、地元自治会が、ボートに水や食料品などの支援物資を乗せ、外に出られなくなった世帯に届けた。

午後1時ごろには同地区のほぼ全域で水が引き、住民の片付け作業が本格化。路上には浸水で動かなくなった車が点在し、止まった車を動かす消防団員の姿が見られた。

市によると、同地区は約1100世帯が暮らす住宅街。南北を小貝川と牛久沼に挟まれており、農業用水路も複数ある。地区には浸水防止用の大型排水ポンプが2機設置されていたが、排出先の小貝川が増水したために雨水排出が追い付かず、地区内が水に漬かったとみられるという。

2階建て住宅で1人暮らしという女性(80)は、「昼過ぎまで1階は水浸し。畳もめくれ上がってしまい動かせずにいる。ほかの家財もびしょぬれ。これからどうしたらいいか分からない」と途方に暮れた様子で話した。

2年前にも床下浸水の被害に遭ったという男性(32)は「リフォームしてやっと元通りになったのに、今回もっとひどい状況になった」といら立ちを隠さなかった。

自治会副会長の諏訪道明さん(64)は「この地区は1人暮らしのお年寄りも多く、家からごみを出すことさえ大変な状況。何をするにしても人手が足りていない」と話した。

■鉾田、通行止め18区間

鉾田市では4日、北浦北部に流れ込む巴川周辺の水が引かず、市内18区間の県道と市道で道路冠水による通行止めが続いた。県や市によると、同日午後5時現在、冠水や土砂崩れにより県道5区間、市道13区間が通行止めとなっている。

2本の県道が交わる同市塔ケ崎の交差点付近では、ショッピングセンター駐車場一帯が水浸しになったほか、一部店舗が浸水被害を受けた。同センター周辺の店舗は休業を余儀なくされており、同センター内の「カスミフードスクエア鉾田店」の花輪肇店長は「駐車場の水が引かないと営業できない」と困り顔だった。

同市鉾田では、低地の住宅が床下浸水。避難した祖母の薬を取りに来た女性(34)は「消防団が排水作業をしており、少し水位が下がっている。様子を見てから家に入るが、中がどうなっているか心配」と不安そうに話した。

床上浸水した住宅で、水に浸かった家財道具などを運び出す男性=4日午後0時43分、取手市双葉
水が引かず通行止めが続く県道=4日午後3時、鉾田市塔ケ崎

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