「スマホ×子ども」徹底議論! 令和時代における子どもとのコミュニケーション

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)「モニフラZ議会」のコーナーでは、“子どもとスマホ、どう付き合うべきか”についてZ世代とXY世代の論客が議論しました。

◆いまや多くの子どもが小学生でスマホデビュー

Z世代のFridays For Future Tokyoオーガナイザー・黒部睦さんの携帯デビューは、当時ガラケーで小学6年生の頃。同じくZ世代の株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんがガラケーを初めて持ったのは、中学2年生のとき。一方、XY世代の工学博士・古田貴之さんは25歳頃に初めてポケベルを持ち、XY世代のキャスター・堀潤は高校時代にポケベルを持ち始めたそう。

このように、携帯事情は世代や時代によって大きく違いますが、最新の調査では、小学生でスマホデビューする子が過半数。また、初めてスマホに触れるのは1~3歳というデータがあります。そこで今回は、"子どもはスマホとどう付き合っていくべきなのか”について議論。

まず、Z世代を代表し黒部さんが「親子一緒に"スマホの役割”の認識を合わせる」と主張。「小中学生は特に親がルールを決めることが多いと思うが、世代で使い方や持ち方は違う。教科書で学んでいたものが今はスマホのなかで学ぶこともあるので、何のために使いたいか、スマホにどんな役割を担わせるのかの認識を親子で合わせることで、揉め事なくスマホと上手に向き合っていけるのではないか」と訴えます。

これに対し、古田さんは「本質は"どんな未来を作るか”」と語り、「子どもは未来の大人、スマホに限らず物事との付き合い方をしっかりと学ばせなくてはいけない。物事において何が良くて、何がダメなのか"価値基準”を作ってあげないといけない」と力説。

その上で「規制は反対、ペアレントコントロールは大反対。親との信頼関係があれば一緒に価値基準を作っていける」と明言。一方で、堀は黒部さんの「(親子で)一緒に作っていく」という意見に共感し、「僕は逆に子どもから教えてもらう親であり、大人でありたい」と理想を語ります。

eスポーツを活用したオンライン学習サービスを展開し、日々子どもと向き合っている小幡さんによると、今やスマホを持たせないという選択肢はあり得ず「(スマホが)ないと取り残されていくので、あったほうが全然いい」と話します。そして、子どものほうが詳しいことも多々あり、「子どもはすぐに理解するので、最低限やるべきことをレクチャーした上で、あとは自由に使わせればいい」と持論を述べます。

そして、親子で一緒にルールを作っていく場合、どこから進めていくべきかの鍵については「納得感」を挙げ、「親が押し付けるだけでは反感を抱くだけ。子どもにどう使いたいか聞いた上で、両者で擦り合わせていくことが必要」と具体的な案を提示。

◆昨今の迷惑行為動画に考える、発信が伴うことの危険性

番組Twitterには「今のTikTokを見ていると未成年にスマホを持たせてはいけない気がする」という意見が寄せられ、ここで話題は昨今、回転寿司をはじめとする飲食店での迷惑行為がネット上に氾濫している件へ。

堀は「悪いことではあるものの、以前であれば悪戯で済んでいたかもしれないが、今はそこに発信が伴っている。それを考えると、大人の役割としては、その行動が社会でどう評価されるのか真っ直ぐに伝えないといけない」、「使い方など良いことは子どもたちに教えてもらいたいし、ネガティブな話はしっかりと親が共有していくべき」と指摘します。

小幡さんは大きく頷きつつも「回転寿司チェーンの件はスマホとは関係なく、そもそも良くないことで、逆に話題になったことで抑止力になる」、「実際にああいったことが行われていることが問題で、そこに僕らが気づかなかったこともヤバい」と率直な思いを述べます。

堀は「今回の事件(回転寿司での迷惑動画)には二系統あり、ひとつはああいったことをしてしまう事件性の話と、もうひとつは拡散されることによって社会的影響力を持ち、株価などに影響を及ぼしてしまうこと。そうやって事件のバリエーションが増えていく」と案じると、古田さんは「あれは逆にリテラシーの教育をしてもらえなかった、扱い方の勉強ができていなかったことの表れ。そこが問題」とまた別角度から切り取り、その上で「そういう状態になる前に親と一緒に信頼感を持って経験し、学んでいくことが大事」と主張します。

◆子どもとスマホ、重要なのは親子の信頼感

では、保護者の方々はどう思っているのか、街頭で意見を聞いてみると「共働きで子どもが習い事をしていたので、家を出るとき、帰ってくるときの連絡手段として持たせたのがきっかけ。何時以降はダメと決めていたが、部屋では使っていたと思う。ひどいときは取り上げた」(子ども22歳・23歳)、「スマホを持てば何かしらトラブルはついてくるし仕方ない。そこから学んでもらうしかない」(子ども小3・高1)など肯定的な声もあれば、「小学生のうちはわからないことが多いので、まだ早いのではないか」(子ども小6・高1)、「子どもはリテラシーが低過ぎて、親が見えないところで何があるかわからないのが怖い」(子ども小2)といった否定的な意見もありました。

「当時はガラケーで機能が少なく、それほどリテラシーを気にする必要がなかったのでそこまで制限はなかった」と語るのは黒部さん。ただ、「今は美容の広告などが自動的に表示され、それを見て私はこうならないといけないと自己肯定感の低下に繋がる危険性もあるので、そうしたところは制限する必要があると思う」と今と昔の違いについて言及。

古田さんは自分の子どもがスマホを持ち始めた際、怖さはあったもののゲームの課金の設定を無制限にした上で見守ったところ、子どもたちは自ら気づき、いつしかゲームをしなくなったといいます。そうした事例を引き合いにし「大事なのは、やはり子どもと親の信頼感。結局は人間関係」と改めてその重要性を訴えます。

番組Twitterの「スペース機能」に参加していた視聴者からは「親子でしっかりと話し合い、互いに譲れない面を擦り合わせてルールを作ることが必要。もしもそのルールがダメなら途中で変えれば良い。変えることを恐れてはいけない」との意見が。

また、SNSの研修を受けてきたばかりという方は「アメリカでは13歳の子どもと親が交わした18の約束というものがあり、それをぜひ知ってほしい」と熱望。そこには親子で持ち方について話し合い、ルールは2人で決めるなどさまざまな約束があるそう。さらに、教育に携わる仕事を長らくしてきたという女性からは「親が一方的に言うのではなく、子どもを子ども扱いしない。子どもには意見が通じないと考えているところが多く、それが課題。親子で対話を重ねて、一緒に考えていけばいい。親子の学びにしていく機会にしてほしい」と話し、さらに子もへの声の掛け方として「今は3~4歳ぐらいの子どもでもスマホを使えるので、これをやるとどういうことが起こるだけじゃなく、誰が困り、誰が悲しむのかも伝えてほしい」と話していました。

視聴者の意見を聞き、古田さんは「根本は親と子どもの信頼関係」と強調。「スマホに限らず、互いに納得して作り上げるのが鍵。そして、子どもを子ども扱いしがちだが、子どももリスペクトできるところがたくさんある」と語ります。

黒部さんは、今回の議論をまとめた総括として「共に納得できるルールに変えていく」と提言。

「ほぼ古田さんと同じだが、一緒に納得できる形で、対等な立場で言い合い、ルールをひとつにする必要もないので、おかしいと感じたときには、その都度変えていくことが大事」とまとめます。

小幡さんは「子どもを子ども扱いしないことは大事。子どももいろいろ考えているし、スマホやITなどに関しては子どもたちのほうがわかっていることも多い。そこはしっかりとリスペクトし、コミュニケーションをとるべき」と子どもとの接し方を唱えます。

堀は、Twitterスペースで視聴者が話していた「悲しい気持ちの共有」に共感。「つらいや悲しい、嫌だな、寂しいなというのは子どもも大人も同じ。学びになった」と感心していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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