虎塚古墳カレー創作 明治大生「食べて学んで」 発掘した故大塚さん企画展

虎塚古墳発掘カレーを企画した三宅南緒さん(左)と久保真斗さん=東京都千代田区

茨城県ひたちなか市にある国指定史跡「虎塚古墳」をイメージしたカレーを明治大の学生が創作し、学内で販売している。古墳を発掘した同大名誉教授の故大塚初重(はつしげ)さんの企画展に合わせた期間限定品で、学生は「カレーを楽しみながら古墳も学んでほしい」と来場を呼びかける。販売は8月7日まで。

虎塚古墳は、約1400年前の7世紀初めごろに造られたとされる前方後円墳。1973年に、考古学者の大塚さんらが石室で彩色壁画を発見した。保存状態がよく、下塗りした白色粘土の上にベンガラ(酸化鉄)で円やかぶと、太刀など武器・武具が壁3面に描かれている。

昨年7月に95歳で亡くなった大塚さんの軌跡を振り返る企画展が、明治大博物館(東京都千代田区)で8月7日まで開催されている。期間中のコラボレーションイベントとして、博物館の広報活動を担う学生団体が「虎塚古墳発掘カレー」を創作。食材選びから試食、ポスター作成など全般を手がけ、提供している。

虎塚古墳カレーは壁面の色に合わせた「白色」と「赤色」の2種類。スライスチーズやサラミ、福神漬けなどで壁画を再現したほか、前方後円墳型のご飯の中には茨城県特産の干し芋を隠し、スコップ型スプーンで〝発掘〟する趣向を凝らした。現地の森を連想させようと、茨城県産ホウレンソウも添えた。

企画に携わった同大2年の三宅南緒さん(19)は「壁画の模様を食材でどう再現するか悩んだ。少しでも古墳に興味がある人にはとてもいい企画展。たくさんの人に大塚先生のすごさを知ってほしい」とアピール。同3年の久保真斗さん(20)は「展示を見てカレーも食べながら学習することで、考古学に親しみを感じてもらえるはず」と話した。

大塚さんは発掘調査だけでなく、市民公開にもこだわった。考古学を身近に感じてもらおうと文化財保護への理解醸成に奔走した情熱は、学生たちに引き継がれている。

博物館は入場無料。虎塚古墳カレーは博物館の併設カフェで販売し、サラダとドリンク付きで1200円、来館者は特別価格960円。30日まで赤色カレーを提供し、7月3日から白色カレーに切り替わる。

虎塚古墳の壁画(ひたちなか市提供)

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