【実録】“仮面夫婦の親”に育てられた子どもたちの現実 #1「いま思えばあれは…」

互いに関心も愛情も向け合わず、形だけの夫婦で生活を続けるのが仮面夫婦。

自分たちはそれで納得しているかもしれないけれど、一方で置き去りにされるのが子どもたちの状態です。

生きる環境を選べない子どもにとって、両親の仲が冷めきっているせいで受ける影響は良い面も悪い面も大きく出てきます。

「親が仮面夫婦」であることは子にどんな現実を強いるのか、実録でご紹介します。

「両親は私が成人するのを待っていたかのように離婚しましたが、家のなかでふたりが仲良くしている姿なんて記憶にないくらい、別々に過ごすのが当たり前でした。

私には弟がいて、赤ちゃんの頃から母と私が世話をして、それを見ても父は一緒にやろうとはせず、ひとりで洗濯をしたりおもちゃを片付けたりしていましたね。

家族で出かけることもあまりなかったけれど、水族館に行くときなど外ではふたりが話していたのを覚えていて、いま思えば周りに仮面夫婦と思われないためのカモフラージュだったのかもしれません。

リビングに私と弟と母がいて父だけ自分の部屋みたいな状況が当たり前で、ご飯は一緒に食べるけど父が話すのは私か弟で、母とは目も合わせなかったのを覚えています。

親がこんな状態なのはおかしいのだ、と気がついたのは高校生の頃で、仲良しの友達が『両親が結婚記念日でふたりで食事に行っていた』と話すのを聞いて、うちは絶対にないなと思ったし『親の仲はいいのが普通なのだ』と改めて知りました。

それからは母も父も何となく遠ざけたくなり、弟は『お父さんが頼りないせいだ』と言っていたけれど、早く家を出たいと考えましたね。

私が県外の専門学校に行きたいと母に話したとき、『お父さんにも自分で話してね』と言われて、その頃は父と会話をすること自体減っていたのでイヤだなあと思いました。

進学で引っ越すまでは家では自分の部屋に閉じこもっていたため親の状況はわからないですが、成人式が終わった年の夏に離婚すると母から言われたとき、どこかで『やっぱりこうなった』と思う自分がいました。

今は母とだけ連絡を取り合っていて父とは疎遠ですが、こんな夫婦にはなりたくないと思っています」(女性/26歳/美容師)

自分の親のあり方について、ほかの家族の状態を見て初めて「異常なのだ」と知る人は多いもの。

だからといって夫婦のことを子がどうにかできることなどほとんどなく、結局はどちらかを恨んだり両方を遠ざけたり、家を出れば一気に距離ができるのもよくあることです。

我が子に「こうはなりたくない」と思われる自分たちについて、仮面夫婦はどう感じるのでしょうか。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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