性交で女性に感染しないよう推進 男子のHPVワクチン接種費用、熊谷市が助成 小6~高1が対象で埼玉初

熊谷市役所=熊谷市宮町

 埼玉県熊谷市は、子宮頸(けい)がん撲滅とヒトパピローマウイルス(HPV)関連のがん予防を推進するため、任意接種である男子のHPVワクチン接種に係る費用の助成を行うと発表した。市によると、男子へのHPVワクチン接種費用の助成は県内では初めて。男子がHPVワクチンを接種することで、HPVによるがんを予防し、HPVに感染した男性と性交渉による女性への感染、子宮頸がんの発症を防ぐとともに、接種を希望する保護者の経済的負担の軽減を図る。

 市在住の小学6年生から高校1年生までの4143人が対象で、2%に相当する83人の接種を見込む。4価HPVワクチンを接種完了となる3回まで、市で定めた接種費用(1回1万8227円)を上限として、実費を助成する。事業費453万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を6月5日に開会する定例市議会に提案する。市報や市ホームページ(HP)で周知し、10月から事業を開始予定。

 市は中学1年生を対象として行っている「生命の授業」で、男女ともにHPVワクチン接種をすることによるHPVの感染予防とがん予防について啓発。男性がワクチンを接種しやすい環境をつくることで、HPVに関する理解が広がり、感染リスクを減らし、市民の健康の保持増進に寄与するとともに疾病、感染症のまん延防止を図る。

 HPVワクチンは2013年、小学6年生から高校1年生までの女子を対象に定期接種化されたが、全身のしびれなど接種後の症状の訴えが相次ぎ、厚生労働省は積極的勧奨を中止。有効性や安全性が確認されたとして、昨年4月から積極的勧奨を再開した。

 定例会見で、小林哲也市長は「女性だけでなく、男性もHPVワクチンの効果があることを知ってもらい、積極的に推進していきたい」と話した。

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