豊臣秀吉の名護屋城居城時に始まったとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されている唐津市呼子町の「呼子大綱引」は4日、クライマックスの大人綱を迎えた。約500人が岡組と浜組に分かれて力の限り綱を引き合い、勝負は浜組が1、2本目を連続で制し、9年ぶりに「大漁」を呼び込んだ。
新型コロナの影響で3年連続の中止を経て4年ぶりに開いた。会場の三神社前には観光客約1500人が詰めかけた。200メートルの大綱の「ミト」と呼ばれる中心付近で、力水を浴びた法被姿の若衆が激しい攻防を繰り広げた。
浜組頭の川崎勝悟さん(44)は「この3年間は寂しさを感じていた。2本で決めるつもりで臨んだ」と汗をぬぐった。呼子の活性化を研究している福岡大商学部のゼミ生16人も行事に関わり、3年の江口夏歩さん(20)=福岡県筑紫野市=は「力強さを感じた。地元の方といろんな話ができ、優しく受け入れてくれた」と話した。
主催する呼子大綱引振興会の小林昌克会長(63)は「呼子にとってかけがえのないものだと改めて感じた。コロナで傷ついた呼子の観光、経済の復活にとっていい綱引きになった」と感慨深げだった。(松岡蒼大)