「自殺した」「殺していません」 京都・井手の殺人事件、元交際相手26歳被告が殺意否認

京都地裁

 京都府井手町で2016年10月に交際相手だった女性=当時(19)=を殺害したとして、殺人罪に問われた無職末海征河(すえうみせいが)被告(26)の裁判員裁判の初公判が5日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。末海被告は「殺していません」と起訴内容を否認した。

 起訴状などによると、16年10月22日午前1時半~同2時18分ごろ、井手町内に止めた車の中で、助手席にいた専門学校生の首を両手で絞め、窒息死させたとしている。

 専門学校生は同日未明に家族に目撃されたのを最後に行方不明になっていた。京都府警が22年2月、末海被告を任意で事情聴取したところ、殺害を認め、「(奈良市の)若草山に遺体を捨てた」と供述。山中の捜索で人骨の一部が見つかり、身元は専門学校生と判明した。

 検察側は冒頭陳述で、末海被告は事件前、妊娠が発覚した専門学校生と車内で口論になったと指摘。殺害後は専門学校生のLINE(ライン)を勝手に操作するなどし、生きているように偽装工作したと説明した。捜査段階で自白した点について「(被告が)案内した場所から肋骨(ろっこつ)や母子手帳が発見されており、任意性や信用性はある」とした。

 弁護側は、専門学校生と一緒にいたことや遺体を遺棄したことは認めつつ、「車内から離れている間に専門学校生が自殺した」として殺害を否定。自白は具体性や任意性に乏しいとし、信用できないと訴えた。

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