釧路の霧に変化が・・・なぜ?

TVh中村秋季乃アナウンサー)井坂予報士と釧路の霧についてお伝えします。

気象予報士・井坂綾さん)6月の北海道は良い季節ですが、道東の釧路では霧の季節に入ります。こちらは釧路の月ごとの霧日数です。

中村)6~8月に多いですね。

井坂)釧路では年間100日ほど霧が発生しているんですが、昔に比べて日数が減っているんです。次に1931~2020年までの霧日数です。

井坂)青色の折れ線、90年代前半までは年間で100日以上霧が発生する年がほとんどでしたが、赤い折れ線、90年代後半以降は100日を下回る年が増えています。

中村)グラフでみると減少しているのがよくわかりますね。

井坂)そもそも釧路で霧が発生するメカニズムは親潮によって冷やされた海の上に、太平洋高気圧から暖かく湿った空気が流れ込み、下から冷やされることで発生します。つまり、冷たい海水と暖かい空気の温度差によって霧が発生するんです。

中村)なるほど。では昔と今で、何が変わったのでしょうか。

井坂)私が注目したのは、「親潮の南下」です。親潮は千島列島に沿って南下する寒流ですが、親潮の下限の位置が昔に比べて北上しているんです。おととし1月、海洋研究開発機構と北海道大学は、2010~16年の夏に、北海道と東北沖で「海水温の上昇が毎年発生していた」と発表しました。その原因は、暖水渦と呼ばれる暖かい海水の渦が親潮の南下を妨げたから、という研究結果でした。

井坂)こちらは1993~2009年の親潮の流れです。親潮が北海道南東部まで南下しているのが分かります。しかし、2010~16年の親潮の流れをみてみると…

井坂)黒潮から切り離された暖水渦が北海道南東部に入り込み、親潮の南下を妨げたことで海水温が上昇したようです。つまり、冷たい海水と暖かい空気の温度差が小さくなったことで霧の発生が減ったと考えられます。海水温の上昇には地球温暖化の影響もあるかと思いますが、暖水渦が親潮の南下を妨げている、ということも原因の一つと言えそうです。

【TVh「5時ナビ」より】

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