天気に翻弄された3日間 ツアー初の27H短縮&セカンドカットを振り返る

ツアー史上初の「27ホール短縮&セカンドカット」が適用された3日間を振り返る(撮影/今井暖)

◇国内女子◇リシャール・ミル ヨネックスレディスゴルフトーナメント 最終日(4日)◇朝霧ジャンボリーGC(静岡県)◇6687yd(パー72)◇晴れ(観衆3739人)

富士山を望めた開幕前日の快晴からは、想像できない混乱だった。

青空の元、1日(木)のプロアマ戦は多くのゲストとプロが笑顔でラウンドしていた。それでも会場では、上田桃子が日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の職員に「あしたやれますか?」と不安げに問いかける。台風の接近に伴う前線の発達により、警報レベルの大雨が予報されていたためだ。

<初日> 早朝に中止が決定

初日早朝に中止が決定。36ホールへ短縮も発表された(撮影/玉木充)

上田の心配は、悪い方に的中する。初日の中止は、第1ラウンド開始の2時間ほど前に決定。午前5時に天候とコースコンディションを調査し、協議の結果、同5時20分に初日の競技中止と36ホールへの短縮が発表された。

早朝のコース状況を確認すると、朝から強い雨が降り続き、その勢いは強くなる一方だった。

大会は1999年の第1回から新潟県のヨネックスCCで開催されてきたが、今年は同クラブと提携を結ぶ朝霧ジャンボリーGCの運営母体である前川製作所が来年に創業100年を迎えるにあたり、記念事業の一環として朝霧に舞台を移して特別開催された。

<2日目> 正午に1R開始も…濃霧中断から順延へ

夕方は濃霧に包まれてプレー続行不可能に…(撮影/今井暖)

2日目も朝から強い雨。第1ラウンドの開始時間は午前7時30分から10時に遅れ、さらに午後0時に変更された。また、競技成立に向けて18ホール後の予選通過者のプレー人数を絞る「セカンドカット」の適用も示唆された。

正午からは一転して晴れ渡り、富士山がきれいに見えた。これで安心…と思えたが、プレーが進むにつれて濃い霧が立ち込め始める。コースは標高800mの朝霧高原にあり、文字通り朝方に霧が発生しやすい。ただ、この日は夕方に発生した。

競技は午後5時19分に中断し、再開が見込めずサスペンデッドに。第1ラウンドは2日目を終えても3人しかホールアウトできず、ツアー史上初となる「27ホールの短縮とセカンドカット」の適用が決定した。

<最終日> 終盤の小雨にもヒヤヒヤ

小雨の落ちる中で決着を迎えた(撮影/今井暖)

天気が回復した最終日の朝は午前6時34分に第1ラウンドを再開し、同10時前にようやく全員ホールアウト。通算1アンダー34位タイまでの53人が予選を通過したが、セカンドカットにより通算2アンダー26位タイまでの33人が9ホールの最終ラウンドに進出した。

悪天候に翻弄(ほんろう)された3日間を12位で終えた吉本ひかるは「天気のことだからしょうがないが、コンディション調整が難しい」と振り返る。この日は午前3時に起床し、同5時前にコース入りして第1ラウンドの再開に備えていたという。

大会は川岸史果が佐久間朱莉とのプレーオフを1ホール目で制してツアー2勝目を飾った。優勝争いが大詰めを迎えているときにも小雨が降り始め、再び中断するのでは…と誰もが不安に感じたことだろう。『山の天気は変わりやすい』ことを、身を持って感じた3日間だった。(静岡県富士宮市/玉木充)

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