坂東玉三郎セルフプロデュース「坂東玉三郎 PRESENTS PREMIUM SHOW」制作発表会レポ

坂東玉三郎はこれまでにもコンサートで度々歌声を披露し、2017年にはアルバムをリリースするなど歌手としての活動も精力的に行ってきた。
7月の京都 南座でのコンサートに続いて開催する本公演は、豪華絢爛な衣裳解説、スペシャルコンサートと、表現者・坂東玉三郎の「想い」が詰まった、いまだかつてない新しい形の公演となる。

会場は、昨年5月に東京・南青山に誕生したミュージックホール&バー「BAROOM」。擂鉢型の円形ホールと、日本コロムビアの膨大なレコードが公開されたミュージックバーからなる、これまでにない新しい文化発信施設。円形ホールは、息遣いを感じるほど演者と客席の距離が近い100席限りの劇場で、まるで秘密俱楽部のような非日常空間で、歌舞伎界の至宝・坂東玉三郎が作り出す世界を体感。

公演に先駆けて制作発表会が行われたが、場所は公演が行われるミュージックホール&バー「BAROOM」。ホール、バーともに洒落た空間で、ホールは本当に距離が近い。時間になり、坂東玉三郎が登壇した。
公演は前半は実際の衣裳を着用しての衣裳の解説、後半はコンサートとなる。「この空間で、とお話をいただきまして、前半は歌舞伎の衣裳と鬘をつけて口上、トークになるんでしょうか、後半はコンサートになります」と公演の概略を簡単に説明。席数が少ない小ぶりの空間では過去にベニサン・ピットでの公演だそう。「ベニサンピット、80年代初期になりましょうか、ここで長く20、30年ほどやってまして…こういう小さい空間は大切に思ってきました。皆様と近くでお目にかかれる、大変楽しみでございます」と語り、「客席が近いので恥ずかしく思いますが、照明の関係でお客様は見えなくなりますので私は楽でございます(笑)」と笑わせた。「偶然、9月はお休みで、こちら様も空いていたのでこういうスケジュールになりました」と語る。
衣裳については「5点ぐらい」と語り、「自由な空間ですので持っているものをその日によって変えることもあります。将来的には小道具や大道具なども紹介したい」と語る。何が紹介されるかはお楽しみ。この衣裳だが、9月後半には海外での展示のために”日本出発”、しばらく戻ってこないらしいので、よって貴重な機会となる。また「この年齢で近くで見られるのはデメリット(笑)」と笑う。また「メリットはその場で近くで見られる、即興性も、その場の雰囲気で…衣裳が近くで見られるのはメリット」またコンサートは曲数については「18〜19曲ぐらい、90分ですので、歌い上げるような歌もありますが、ゆっくりと歌い上げるような歌もございますが、検討中です」

またこのくらいの規模の小さい劇場での公演は「35年ぶりぐらい」と語り、「ベニサンピットでの『ナスターシャ』(※1)の時は150人ぐらい?」と振り返る。この『ナスターシャ』、客席と舞台が近いので緊張してしまったお客様もいらしたとか。質問で「新しいことにチャレンジすることの意義は?」という質問に対して「チャレンジ、という気持ちはあまりございません、体力を考えると大きな劇場で大きな役というのは…体力的に難しい、このようなお話をいただいて『いいのではないか』と…粛々と活動できる、お客様との関係が充実、お客様に気楽に楽しんでいただけるのが将来の道、このお話をいただいたのは幸せなこと。お客様と親密にお目にかかれることが大事。体力的に叶うところでの興行をじっくりと」と語る。

色々とアイディアはある様子。「70年代、杉村春子さんの朗読で淡谷のりこさんの歌、内容は淡谷のりこさんの一生、ご本人が歌っていらして感動しました※2。また、60年代に寺山修司さんが作詞、カルメンマキさんの一生のような朗読、語りと歌がございまして、ドラマのように進んでいくのがございました。今度の9月に間に合うかどうかは分かりませんが、(色々と)させていただきたいと思っています」と語る。また、コンサートとはいえ、ご本人以外の出演は小ぶりの空間なのでピアノとキーボードのみ。コンサートのトーク内容はお客様の雰囲気で、とのこと。まさに一期一会な公演となりそう。
おしゃれ、かつ濃密な空間でトークとコンサート、公演は9月より。

※1『ナスターシャ』(ポーランド語: Nastasja )はドストエフスキーの後期長編作品『白痴』を原作とした、1994年に初演の坂東玉三郎主演の舞台作品、同じく玉三郎主演での映画作品(1994年、日本・ポーランド合作、99分)。なお映画版では永島敏行がラゴージン役を演じた。

※2 昭和48年度芸術祭参加 歌手淡谷のりこ〜歌に託した半世紀〜

概要
坂東玉三郎セルフプロデュース「坂東玉三郎 PRESENTS PREMIUM SHOW」
日程・会場:2023年9月2日〜9月24日 ミュージックホール&バー「BAROOM」
(9月2日〜10日.口上&衣裳解説/9月12日〜24日スペシャルコンサート)
出演:坂東玉三郎
問い合わせ:BARROOM 03-6892-1577 info@baroom.tokyo
ミュージックホール&バー「BAROOM」公式サイト:https://baroom.tokyo

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