<レスリング>片脚を失った谷津嘉章さん(日大レスリング部OB)が7.1~2全日本社会人選手権へエントリー

 

 7月1日(土)~2日(日)に埼玉・富士見市立市民総合体育館で行われる2023年全日本社会人選手権の男子フリースタイル125kg級に、元プロレスラーで糖尿病のため右脚のひざから下を失った谷津嘉章さん(日大レスリング部OB)がエントリーした(フリースタイルは1日)。

 今年1月の全日本マスターズ選手権では、義足を外してのエキシビションマッチを実施。“障がい者レスリング”を披露し、普及を訴えた(関連記事)。今回はエキシビションマッチではなく、普通の大会への出場。慣例通りなら、3位以内に入れば12月の天皇杯全日本選手権への出場資格を得る。谷津さんは「何とか全日本選手権に出場したい。今回が駄目なら、秋の全国社会人オープン選手権にも挑みたい」と話している。

▲今年1月、障がい者のレスリングを関係者にアピールする谷津嘉章さん

 同選手は1986年全日本選手権で、当時のプロアマ・オープン化の流れに乗って、初めてプロ選手としてレスリングの試合に復帰参戦している。そのとき以来、37年ぶりのレスリングのマット。

 2019年6月に片足を失ったあと設立した日本障がい者レスリング連盟(クリック)は、特定非営利活動法人(NPO法人)としての認可を受け、障がい者のレスリングの普及に尽力中。普通のレスリングの大会にも出場し、障がい者であってもレスリングができることをアピールし、同志を集めていく志を持っており、今回の大会出場はその活動の一環。

 今後は、日本協会の傘下連盟入りを目指す。連盟として障がい者選手のためのルールを作成し、練習会などを実施していきたい希望を話した。

 「負ければ、悔しい、という本能が出てくると思うが、今回は勝ち負けより、出場できることが大きい。受け入れていただいた日本社会人連盟に感謝したい」と話し、障がい者への差別がなくなりつつあることを感じるという。

 米国では、2011年の全米学生選手権に片脚のないアンソニー・ロブレス選手(アリゾナ州立大)が出場して優勝。全米に感動を与えた出来事があった(関連記事)。日本では、片足のない選手が通常の大会に出場するのは初めてと思われる。注目される37年ぶりのレスリング復帰だ。

▲エキシビションマッチで闘う谷津さん。今度は、普通の選手を相手にした闘いに挑む

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