朝倉文夫記念館、本年度の「さくら功労者」に 16~22年度の500本植樹を評価【大分県】

朝倉文夫記念公園に咲き誇るサクラ=2020年3月29日、豊後大野市朝地町池田
「さくら功労者」に選ばれた朝倉文夫記念館の宗像健一館長(中央)ら

 【豊後大野】豊後大野市朝地町池田の朝倉文夫記念館(宗像健一館長)が、公益財団法人日本さくらの会が選ぶ本年度の「さくら功労者」に選ばれた。2016~22年度に同館がある朝倉文夫記念公園内に約500本を植樹したことが評価された。本年度は全国の14個人・22団体が選ばれ、県内からは同館のみ。市内では昨年度の清川まちづくり協議会に続いて2年連続となる。

 記念館は、日本近代彫刻の礎を築いた町出身の彫刻家朝倉文夫(1883~1964年)を顕彰する施設。朝倉は晩年、出身地に理想的な芸術鑑賞空間の建設を計画。自費を投じて用地を購入したが志半ばで死去したため、旧朝地町が遺志を継いで91年に開設した。

 同館によると公園開園時、16ヘクタールの園内には朝倉が好きだったブンゴウメの他、フジ、ハス、モミジなどさまざまな樹木が植えられた。その後、以前からあったクヌギなどが成長し、日陰になったサクラや一部の樹木は大きく育たなかったという。

 朝倉は生前、東京都台東区にアトリエと住居を構えた。同区の木はサクラで春になると上野恩賜公園や隅田川沿いなどで咲き誇ったことから、東京で見ていた景色を再現しようと2016年度から整備を始めた。

 品種はソメイヨシノが中心。地域おこし団体「朝地まちづくり協議会」が約100本を植樹したり、日本さくらの会から毎年寄せられた苗木(計250本)を記念公園のファンクラブ会員が植えるなど多くの人の協力で進めてきた。

 宗像館長(74)は「皆さんのおかげで受賞でき、感謝している。10年後にはサクラの名所と言われるよう手入れをしていきたい」と話した。

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