遺族「記録は亡き者の叫び」 京都・亀岡登校事故の少年事件記録廃棄、最高裁が説明し謝罪

最高裁の担当者との面会後、取材に応じる中江さん(6日午後、京都市左京区・京都家裁前)

 重大少年事件の記録が各地の裁判所で廃棄されていた問題で、2012年に京都府亀岡市で集団登校中の児童らの列に無免許運転の車が突っ込み、妊娠中だった長女松村幸姫さん=当時(26)=を亡くした中江美則さん(59)は6日、調査報告書をまとめた最高裁の担当者と京都家裁で面会し、改めて謝罪を受けたと明らかにした。

 廃棄経緯についても詳しく説明があった。中江さんは面会後、取材に応じ、「記録は亡き者の叫び。どんな方法を使っても残してほしい」と語った。

 最高裁が5月に公表した報告書では、京都家裁が亀岡事故の記録を廃棄した経緯について、当時の管理職が「罪名が殺人などの重大なものではなかったこと、少年記録はプライバシーの問題から原則廃棄と考えていたこと」などから、特別保存という考えに至らなかったとした。

 中江さんによると、最高裁と家裁の職員4人と約1時間半にわたって非公開で面会。担当者は廃棄に対して「申し訳ない」とおわびの言葉を述べ、経緯や今後の取り組みなどを説明した。

 最高裁が再発防止策として国民や専門家の意見を反映させる第三者委員会を設置するとした点について、中江さんは「犠牲者遺族の声をもっと聞いてほしい」との要望を担当者に伝えたといい、「これで終わりではなく、ここからが始まり。緊張感を持ってやってもらいたい」と話した。

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