Jリーグ開幕から30年。これまで数多くの外国籍ゴールキーパーが活躍してきた。
出場時間6709分で失点66と、6000分以上の出場時間で最少防御率を誇るオランダ人GKヴァン・ズワム。
Jリーグで連続無失点記録(823分)保持するオーストラリア代表GKミッチェル・ランゲラック。
この他数多の外国籍GKが猛威を振るってきた。今回はJリーグに来れば高い確率で活躍する可能性を有する今夏でフリーとなる外国籍ゴールキーパー5人を選出した。
CL決勝の悲劇を乗り越えてリーグ杯決勝で復活をアピール
ロリス・カリウス
国籍:ドイツ
所属:ニューカッスル/ENG
サウジアラビア資本が注入されたニューカッスルとの契約満了が今月末に控えるカリウス。
マインツで印象的な活躍を披露し、素早い反応を持ち味に若くして正守護神の地位を勝ち取った。
2018年チャンピオンズリーグ決勝の致命的な失策が目立ってしまったため、市場価値を大きく落としてしまった。
類稀なシュートストップ技術を持ち合わせるも、不調時のパフォーマンスに不安は隠せなかった。
だが今季のプレミアリーグ杯決勝では0-2と敗れたが、ファインセーブを連発して顕在ぶりをアピールした。
まだ29歳と若く、カリウスが加入すれば大きな戦力になり得る。横浜FCのGKスベンド・ブローダーセンが印象的な活躍を見せているだけに、新たなドイツ人GKの活躍が見たいところ。
初のメキシコ人Jリーガーはあるか
ギジェルモ・オチョア
国籍:メキシコ
所属:サレルニターナ/ITA
メキシコのゴールマウスを長きに渡って守り続けるオチョアは、サレルニターナを今夏で去る。
ワールドカップは2006年ドイツ大会から5大会連続でメンバーに選出され、化け物じみたセービングでチームの窮地を救ってきた。
37歳と高齢だが、2020年東京五輪では銅メダル獲得に貢献し、2022年ワールドカップカタール大会ではポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキのPKセーブは記憶に新しい。
円熟味のあるベテランGKは、新天地をどこへ選ぶのか。メキシコ人選手はJリーグで未だプレーしていないため、待望のJ初のメキシコ人選手としてオチョアに来日してほしい。
ダンディでイケメンな元フランス代表GK
ブノワ・コスティル
国籍:フランス
所属:リール/FRA
元フランス代表コスティルは、今夏にリールとの契約を満了する。
カーンの育成組織出身で、フランスU-21代表で超人的なセービングで存在感を見せた。
その後は不安定なパフォーマンスで評価を落とす時期もあったが、スダン所属時の2010-11シーズンにはフランス2部の最優秀ゴールキーパーに選ばれた。
レンヌで正守護神になってからは至近距離からのシュートも防ぐ反射神経などが評価され、フランス代表に選出。EURO2016にも第3キーパーとして大会に参加した。
ワイルドな風貌は代表のチームメイトであるFWオリヴィエ・ジルーにそっくりな外見とフランスメディアに取り上げられており、女性だけでなくゲイからも高い人気を誇る。
超人的な反応が売りのベテランGKの経験と実力は間違いないため、Jリーグの舞台で見てみたい。
ケルン一筋のリオ五輪銀メダリスト
ティモ・ホルン
国籍:ドイツ
所属:ケルン/GER
下部組織を含めれば20年以上に渡ってケルンに所属し続けてきたホルンは、この夏愛するクラブに別れを告げる。
リオデジャネイロ五輪ではドイツU-23代表の正守護神としてポジションを確保し、同代表を銀メダル獲得へと導いた。
GKには珍しい左利きで、相手の隙をついた飛距離のあるロングフィードは意外性がある。大胆なカバーリングや至近距離のセービングも定評がある。
長きに渡ってケルンのゴールマウスに鍵をかけ続けてきたが、今季はリーグ戦出場がゼロに終わった。
30歳とまだまだ若い実力派GKは新天地をどこへ選ぶのか。日本を選べばJ屈指のGKとなる可能性は高そうだ。
スーパーゴールを決めたボスニア・ヘルツェゴビナの英雄
アスミル・ベゴヴィッチ
国籍:ボスニア・ヘルツェゴビナ
所属:エヴァートン/ENG
2021年にエヴァートンへ加入したベゴヴィッチは、今夏にクラブから離れる見込み。
ボスニア紛争から逃れるために、幼少期はドイツへ避難。キルヒハウゼンの下部組織で打ち込み、10歳のときにはカナダへと渡った。
カナダではカナダU-20代表に選出されるも、A代表では出場機会をつかめなかった。その後ボスニア・ヘルツェゴビナ協会の説得もあり、母国の代表チームを選んだ。
そして、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表で正守護神を務めたベゴヴィッチは、チームを2014年ワールドカップブラジル大会出場に導いた。
今季引退した元カナダ代表FW中島ファラン一生さんは
「ゴールキーパーのアスミル・ベゴヴィッチなんかは僕と一緒にゴールドカップ出たんですよ。本当にやらかしましたね。
ベンチにいたのに、出場させなかったんです。その後に、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表から招集を受けて持っていかれたんですよね。
あれは滅茶苦茶惜しいことしましたね」
と過去にQolyの取材を受けた際にベゴヴィッチの代表鞍替えを振り返っている。
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2013年11月2日のサウサンプトン戦でロングフィードがそのままゴールに突き刺さる形で得点したベゴヴィッチ。
来日する機会があれば、飛距離のあるロングキックとキャッチングの上手さをJリーグの舞台で披露してほしい。
この他にも元スペイン代表ダビド・デ・ヘア(マンチェスターユナイテッド)、スペイン人GKダビド・ソリア(ヘタフェ)、フランス人GKマクシム・デュペ(トゥールーズ)、元スロベニア代表GKサミル・ハンダノヴィッチ(インテル)らが今夏で契約満了する見込みだ。