<遠隔営農指導を全国で> 25年度実現へ 農研機構、NTT

秋田県大潟村の農家に指導する農研機構研究員。画面には畑の映像やデータを映す(6日、東京都新宿区で)

農研機構とNTT東日本などは6日、遠隔地にいる専門家が生産現場の状況をリアルタイムで把握し、営農指導を行う技術を全国展開すると発表した。農家が着用するスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)が映した圃場(ほじょう)の映像を基に、作業適期などを助言する。タマネギで実証を始めており、トウモロコシや大豆、麦類などにも対象を広げ、2025年度をめどに実現を目指す。

同機構とNTT東日本、NTTアグリテクノロジーが、20年から進める。生産現場での指導者の減少を遠隔指導で補うことを目指す。

同日に東京都内の会場と、秋田県大潟村の「みらい共創ファーム秋田」のタマネギ圃場をつなぎ実演会を開いた。都内の会場には複数のモニターが並び、現地のタマネギの画像や、積算気温といった気象条件、農薬の散布履歴などの情報を映した。同機構職員はそれを見ながら「来週くらいには収穫が進められる」と農家に伝えた。

今後、同機構が蓄積する農業の各種データを活用し、人工知能(AI)を使った病害虫の診断や生育予測と組み合わせ、指導の効果、効率を高めていく。

同機構の久間和生理事長は、培ってきた栽培ノウハウを正確、迅速に伝えられるとし、「経験の浅い人も農業に新規参入しやすくなる」と強調。NTT東日本の澁谷直樹社長は「システムを日本中に普及させる挑戦をしていきたい」と述べた。

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