景観重要建築が全焼…住人2人は無事 大正末期建築、川越の「板倉家」 近隣には川越まつりで巡行の山車も

全焼した都市景観重要建築物の「板倉家」=6日、埼玉県川越市中原町1丁目

 6日午前11時20分ごろ、埼玉県川越市中原町1丁目の男性(73)方から出火、約6時間半後に火は消し止められたが、木造2階建て住宅を全焼し、周辺の住宅3棟の壁が焦げるなどした。

 同市都市景観課によると、男性方は大正時代末期の1925年に建築された「板倉家」。市条例に基づく都市景観重要建築物に指定されていた。

 川越署によると、付近を通りかかった男性(36)が、住宅から火が出ているのを発見し、110番した。男性は妻と2人暮らし。出火当時、夫妻は在宅していたが、避難して無事だった。

 同署で出火原因を調べている。

■市街地中心部「財産失い残念」

 川越市の都市景観重要建築物に指定されている住宅が全焼した現場は、すぐ近くに市立中央小学校などがある市街地のほぼ中心部。建物は壁の一部を残して焼け落ち、焦げ臭いにおいがしていた。

 数十メートルの場所には、川越まつりで巡行する中原町の「河越太郎重頼の山車」を保管する山車蔵がある。付近に住む男性は、「燃え広がっていたら山車が危なかったかも」と心配そうに焼け跡を見つめた。

 市内では今年1月、市指定有形文化財の飲食店が全焼する火災があったばかり。様子を見に来た市内女性は、「歴史的な建物は川越の財産なので残念」と話していた。

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