辺野古の海にサンゴの卵 専門家「少しでも生き延びて」白やピンク、10数メートル 沖縄・名護市

 新基地建設の工事が進む沖縄県名護市辺野古沿岸の海域で5日午前、サンゴの卵が海面に浮遊しているのが確認された。海上から基地建設工事の監視を続けるヘリ基地反対協海上チームの島しづ子さん(75)が撮影した。島さんによると、埋め立て土砂の投入で護岸が造られた辺野古側に近い海域で、米軍キャンプ・シュワブから約500メートル沖に位置する無人島・長島の沖合に、白やピンク色をした帯状の卵が10数メートルにわたり漂っていた。

 サンゴは5~6月の大潮や満潮前後の夜に一斉に産卵するとされる。辺野古・大浦湾のサンゴに詳しい日本自然保護協会主任の安部真理子さんによると、5日に確認されたサンゴの卵はミドリイシ類で、4日の夜に大浦湾で産卵し海中で受精後に海面へ浮上したとみられる。島さんは「埋め立て区域から移植されたサンゴの一部が死んだのは悲しかったが、命を生み出しているサンゴもあるのだと希望が持てた」と話した。

 安部さんによると、サンゴの卵は砂浜に打ち上げられたり、魚に食べられたりして、すべてが岩場に定着するわけではないとし「埋め立て工事で物理的にサンゴが生きられなくなっている。少しでも生き延びてほしい」と願った。

(慶田城七瀬)

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