熱中症に注意を 真夏日に迫る暑さ 体育祭中に6人搬送

6月7日の都内は真夏日に迫る暑さとなりました。体育祭中の江戸川区の高校では生徒ら20人が熱中症とみられる症状を訴え、6人が搬送されました。

6月7日の都内は気温が上昇し、都心で最高気温29.6度を記録。府中で29.5度、青梅で29.2度、八王子で28.9度と、各地で真夏日に迫る暑さとなりました。東京消防庁によりますと江戸川区の小岩高校で体育祭の最中に生徒ら20人が熱中症とみられる症状を訴え、6人が搬送されたということです。

暑さが戻ってきた都内。自治体は熱中症対策の準備を進めています。

東日本大震災があった2011年、世田谷区が節電要請の中の熱中症対策として始めたのが、「お休み処」の設置です。黄色いのぼりが目印で、冷房の効いた施設の中で誰でも気軽に休憩ができ、飲料水を区が無料で提供しています。今年も15日からの開始を前に、お休み処となる施設に区の職員が飲料水を配っています。

10年以上、「お休み処」になっている接骨院の院長は、こうした地道な取り組みを継続することの意義を感じています。

院長:「熱中症で亡くなることはない方がいいんですよ、防げることなので。(去年に水を)渡したのが30人くらいだったんですが、もしかしたらそこで助かった命があったかもしれないとは思っています。」

世田谷区の「お休み処」は区内に約270カ所設置予定で、公共施設だけでなく銭湯や薬局、接骨院など、特に熱中症に注意が必要な高齢者が普段から立ち寄る場所が設定されています。

この日、飲料水の2件目の配送先となる銭湯では、店頭の冷蔵庫に熱中症対策の水を用意していて、入浴客に、お風呂に入った後の脱水状態のまま外に出ないよう、呼びかけています。

店主:「お風呂入ると水分が欲しいでしょ。ありがたいですよ、うちとしても」

世田谷区内で去年、お休みどころを利用したのは延べ7万5千人ほどだったということです。

担当課長:「(区民から)「暑い中で冷たい水が飲めて、座れる場所があるのは大変助かる」と「安心して外出できる」という声をいただいている」

世田谷区は区をあげて熱中症対策に取り組んでいて、屋内での熱中症対策として、高齢者の方に温度計がついた熱中症予防シートの配布もしています。冷房を使うべきタイミングなど熱中症の危険度が一目で分かるというものです。

そして世田谷区のように各自治体が取り組む熱中症対策に、政府も本腰を入れています。現在開かれている通常国会で、熱中症対策を強化する改正気候変動適応法が成立しています。この背景に、自然災害による死者に比べて、熱中症による死者が大きく上回っているという現状があります。政府は、各省庁で連携して、2030年までに熱中症による死者を半減させるための具体的な実行計画の策定を進めています。

この法改正の一番の目玉が、来年度にも行われる「熱中症特別警戒情報」の創設です。現在の「熱中症警戒アラート」のさらに上の警戒レベルを表すもので、発表されると自治体は図書館や商業施設など、事前に指定しておいた冷房の効いた施設をクーリングシェルターとして住民らに開放することが義務付けられます。この特別警戒情報を発表する基準は今後、専門家と協議されるということです。

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