長崎に井上ひさしさん追う 映画公開、三女・麻矢さん思い語る

ドキュメンタリー映画「長崎追想 父・井上ひさしへの旅」の公開記者発表会で井上さんと平和への思いを語った井上麻矢さん(左)と松村克弥監督=東京・千駄ケ谷

 川西町出身の作家・劇作家故井上ひさしさんの三女で、こまつ座代表の井上麻矢さんが長崎のまちを歩くドキュメンタリー映画「長崎追想 父・井上ひさしへの旅」の公開記者発表会が6日、東京・紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで開かれた。長崎は、井上さんの代表作で広島が舞台の「父と暮せば」と対になる物語「母と暮せば」の舞台。麻矢さんは平和への思いを語った。

 「母と暮せば」は、井上さんが温めていた着想を基に山田洋次監督が脚本を書き下ろし、吉永小百合さんと二宮和也さんが主演して2015年に映画化された。ドキュメンタリー映画「長崎追想―」は、父が描こうとしていた長崎のまちを麻矢さんが歩き、原爆の悲惨さを目の当たりにしながら、父への思いをたどる旅となっていく。語りは長崎出身で、被爆者でもある歌手・美輪明宏さん。監督は「長崎を最後の被爆地に(したい)」との思いを持つ松村克弥さん。

 記者発表会で麻矢さんは、井上さんが「長崎は『女傑』が多いから女性が似合うまちだ」と話していたことを紹介。「長崎を旅し、性別を超えた本当の意味での女性の強さをもともと持っているまちだと、父の言葉を何度も思い出した」と話した。ロシアのウクライナ侵攻に触れ「戦争を知らない世代が増えているのに、今この瞬間も戦っている人が世界中にいる。自分たちが幸せな時ほど、心をその人たちのところに持って行くことが大事だ」と語った。

 引き続き、こまつ座40周年記念の特別上映会を行った。映画は8月に長崎県でも上映される予定。

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