プジョー初優勝/締切守らず罰金150万円/公式ゲーム開発中etc.【ル・マン24時間火曜日Topics】

 ル・マン24時間レースの走行開始前日の6月6日(火)は、先週日曜日に行われたテストデー後に設けられた2日目の休息日となったが、チームは7日(水)から始まる走行セッションに向けてマシンのリビルドを続けている。そんな火曜日のフランス、サルト・サーキットからレースウイーク突入直前のトピックスをお届けする。

■プジョーが先勝。ル・マンの表彰台に立つ

***前述のとおり、火曜日のサーキットは“休息日”となっているが、チームのメカニックは車両の整備を継続している。また、サーキットでは2度のサイン会とピットウォークのほか、100周年を記念したトロフィーとドライバー集合写真の撮影、ピットストップ・チャレンジなどのアクティビティが行われた。

***昨年に続いて開催されたピットストップ・チャレンジでは、93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)のメカニックが4つのホイール交換で10.067秒のタイムを記録して優勝。ル・マンの表彰台の頂点に立ち、ひと足早く勝利の美酒を味わった。TOYOTA GAZOO Racingの7号車組が0.206秒差で2位、フェラーリAFコルセの50号車組が3位となった。

***LMP2クラスはチームWRTの41号車担当チームが総合4位でクラス優勝を達成。NASCARガレージ56グループが総合5位で続いている。LMGTEアマクラスではノースウエストAMRのメカニックが10.480秒でクラス最速となった。

■6台に車高違反によるペナルティが下る

***LMP2クラスのベクター・スポーツ10号車、タワー・モータースポーツ13号車、AFコルセ80号車、レーシングチーム・ターキー923号車、デュケイン・チーム30号車、ニールセン・レーシング14号車の都合6台は、テストデーでの車高チェックにおいてレーザーセンサーを作動させた。これらの車両はホモロゲーションの不適合とみなされ、フリープラクティスでの20分間のストップ&ホールドペナルティーを受けとった。

***IDECスポールのスポーツディレクターであるニコラ・ミナシアンは、ペナルティを受けたチームへの失望を表明した。「クルマを開発する上でレーザーを当てることほど正確なものはない」と、彼はSportscar365に語った。「いま、彼らは情報を手に入れた。彼らはすでにレースのために不正を働いている」

***さらに、クール・レーシングの47号車オレカ07・ギブソンは、テストでのトラックリミット違反が絶えず、それにより7日のオープニングプラクティスでは10分間のストップ&ホールドペナルティを受ける。また、クール・レーシングを含む多くのマシンが、同じ違反行為でテスト中に5分間のストップ&ホールドを課されていた。

***アルピーヌとアルガルベ・プロ・レーシング、さらにチーム・プロジェクト1の3チームは、ACOフランス西部自動車クラブの持続可能性コンペティションに向けた情報の提出期限を過ぎたため、1万ユーロ(約150万円)の制裁金を科されている。この罰金は、各選手が必要な情報を提出することを条件に10月4日まで保留される。

■ミシェル・ヴァイヨンとのコラボレーション

***IDECスポールはフランスの高級車メーカー、ドラージュと提携し48号車オレカ07・ギブソンにブルーのカラーリングを施した。この提携はIDECスポールの社長であるパトリス・ラファルグとドラージュの社長であるローラン・タピーの親交から生まれたもので、現在はル・マンのみでの展開となっている。ドラージュは現在、V12エンジンを搭載し1000馬力を超えるパワーを誇るサーキット専用のハイパーカー『D12』を製造している。

***ミナシアンは、このような企業と手を組むには「良い年」だと付け加えた。「ドラージュは1923年に行われた最初のル・マンに参加し、今ここにいるんだ」と彼は述べた。「当時のクルマはとても美しいもので、今また戻ってきた。私たちにとってレースに何か違うものをもたらしてくれる」

***レネ・ラストは、このイベントで『ミシェル・ヴァイヨン』にインスパイアされたカスタムヘルメットを着用し、フランスの長寿コミックシリーズにちなんだカラーリングとなっているタワー・モータースポーツの13号車のブランディングとマッチングする。

***ラストはSportscar365に、当初はブラックカーボンのヘルメットで走るつもりだったが、チームとコミックの出版社との話し合いで変更になったと説明した。「このレースのために何か特別なことをしたいかと尋ねたんだ」とラスト。「彼らは僕にデザインを提供してくれた。いま僕は基本的に完全なミシェル・ヴァイヨンのファクトリードライバーだよ!」

#13 オレカ07・ギブソン(LMP2プロ・アマ)タワー・モータースポーツS.トーマス/R.テイラー/R.ラスト

■シーズン後半戦に向けて「様子見」のグリッケンハウス

***ジム・グリッケンハウスは、新たに加入したエステバン・グティエレスがテストデーでチームに「すぐに溶け込んだ」と述べ、グリッケンハウス007に適応するのにほとんど時間を必要としなかったとSportscar365に語った。「彼はクルマの中で、とてもうまくやっている。彼はクルマを気に入っているようだ。我々はできる限りの努力をし、ベストを尽くすつもりでいる」

***アメリカンチームのオーナーは、この週末の結果がモンツァで行われる次のWECラウンド後にグリッケンハウスのプログラムをどのように継続するかを決定する要因になる可能性があると述べた。グリッケンハウスは、「いろいろな可能性がある」と述べ、「新しいBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が適用されたこの状況を、どのように処理するか待っている。ここでどうするかは、様子を見てみよう。私たちが何か提案するには少し早すぎる」

***GMスポーツカー・プログラム・マネージャーのローラ・ウォントロップ・クラウザーは、キャデラック・レーシングがフルシーズンのWECプログラムを2台体制に拡大する可能性があるというメディアの報道を軽視し、現時点では「pie in the sky(実現しそうもないこと)」であるとSportscar365に語った。

***彼女は「それらの議論は行われていたかもしれないが、正直なところ、我々はそれ以上近づいていない」と述べた。「(ル・マンが)私たちの一番大事なことで、他のことは二の次になっているので、それについて考える機会がないのです」

■公式ゲームの発売予定は今冬

***『rFactor2』を開発したモータースポーツ・ゲームス傘下のStudio 397は、WECの公式PCビデオゲーム『Le Mans Ultimate』を開発中であると発表した。2023年のWECシーズンに登場するマシンとトラックをフィーチャーしたこのゲームは、今年12月にリリースされる予定だ。

***タワー・モータースポーツのドライバーであるジョン・ファラノは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でのクラッシュ後の「予防措置」として、ル・マンを欠場する。チームのチーフであるリッキー・カポネによると、彼は北米シリーズの次戦グレン6時間レースで、同チームが走らせるオレカのコクピットに戻る予定だという。ル・マンではスティーブン・トーマスが代役を務める。

***ザ・ハート・オブ・レーシングのチーム代表であるイアン・ジェームスは、ライリー・モータースポーツがプロ・アマクラスで走らせるメルセデスAMG GT3エボで、ジョージ・カーツ、コリン・ブラウン、フェリペ・フラガとともに、来るクラウドストライク・スパスパ24時間に参加することが決まっている。これはジェームスのドライバーレーティングがブロンズになったことによって実現した。

***ジェームスはSportscar365に次のように語った。「面白いね。僕は間違いなくキャリアの黄昏時にいるのだけど、今までにないほど多くのチャンスをもらっているんだ。変な感じだよ。この10年間は積極的に裏方に回ってきたのだけど、今はこれまで以上に多くのドライブをしている。ちょっとクレイジーだ」

***7日(水)のスケジュールは、現地14時から17時(日本時間21時から24時)までの3時間にわたって週末最初の走行となるフリープラクティス1回目が行われる。続いて19時から20時(日本時間8日2時から3時)に予選が実施された後、2度目のプラクティスが22時から2時間行われる(日本時間8日5~7時)。予選で各クラス上位8台に入った車両は木曜日に行われるハイパーポールに進出することができる。

グリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 2023ル・マン・テストデー

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