「見ぬふりできぬ」ジャニーズ性加害問題で与野党さや当て 「児童虐待防止法」改正見送り 落としどころ見いだせず

 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長(2019年死去)による性加害問題への対応を巡り、与野党のさや当てが7日、国政で繰り広げられた。政府与党は「児童虐待防止法」の改正を見送って来週に関係府省庁会議を開催する方向で調整に入ったが、立憲民主党は法改正を国会審議で迫った。性加害問題への思いは与野党とも「見て見ぬふりはできない」として一致するものの、落としどころが見いだせない状況だ。

 立民は地位を利用した第三者による虐待について、通報義務を追加した改正案を先月26日、衆院に提出している。今月5日には性被害を訴えている元所属タレントたちが「未来の子どもたちを守るため」として、児童虐待防止法改正を求める約3万9千人分の署名を与野党各党に渡した。

 7日の衆院厚生労働委員会では、改正案提出者の早稲田夕季氏(4区)が質問に立ち、警察庁の友井昌宏官房審議官から「早期の通報は犯罪抑止に有用」との答弁を得た上で「法改正こそが抑止効果を持つ。署名への願いを踏まえて対応すべきだ」と政府に迫った。加藤勝信厚労相は「子どもに対しての性犯罪は人権を著しく侵害する」と応じたが「より相談や通報をしやすい環境を整えていく」と述べるにとどめ、法改正には踏み込まなかった。

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