ボランティア無料で宿泊 七尾・森さん、珠洲に開設

ボランティアに開放している無料宿泊所=珠洲市清水町

  ●清水町の空き家利用「復興の力に」

 最大震度6強の地震を受け、珠洲市清水町にボランティア向けの無料宿泊所が運営されている。七尾市能登島須曽町の会社役員森雄翼(ゆうすけ)さん(33)が知人から借りた空き家を利用して開設した。森さんは東日本大震災の後にも仙台市に同様の宿泊所を開いており、「大好きな珠洲でもボランティアが活動しやすい環境をつくり、復興の力になりたい」と願っている。

 無料宿泊所は輪島市境に近い道の駅「すず塩田村」のそばにある。木造2階建ての住宅で、5年ほど空き家となり、森さんの知人が今冬に購入していた。

 森さんは5月上旬から8月上旬まで空き家を借り、水道や電気を通した上で無料宿泊所としてボランティアに開放した。当初は家具や寝具はなかったが、別の知り合いから布団5組と冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器などの家電を譲り受けた。

 寝袋などがあれば10人ほどが宿泊でき、これまでに15人ほどが利用して市内の住宅の後片付けなどに取り組んだ。ボランティア先のあっせんはせず、宿泊者は自身で災害ボランティアセンターに登録するなどして活動する。

 熊本県出身の森さんは、海を好み、友人やなじみの店を訪ねるため、かねて七尾から珠洲を頻繁に訪れていた。5月5日の地震後、森さんはボランティアをしようと考えたが、七尾からは片道1時間以上かかるため、拠点となる施設をつくることにした。

 京大在学中に起きた東日本大震災では、仙台市で1年間、津波をかぶった空き家を修繕して無料宿泊所を運営した経験がある。300人近くが宿泊し、地域住民の日常の再建の力となった。利用者から「無料宿泊所があったからボランティアに来た」と声を掛けられたこともあった。

 森さんは「珠洲の復興のために役立ちたいとの気持ちがある人に利用してほしい」と話した。問い合わせは森さん=080(1297)0758=まで。

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