産地で役立つロボ作りたい 宮崎大の学生がマンゴー防除用開発(動画あり)

開発した「Mister King」を操作する魚住さん(右)と平江さん(宮崎市で)

農家の意見を形に

誰かの役に立つロボットを作りたい──。宮崎大学の学生、魚住龍太郎さん(22)と平江海人さん(22)は、地域特産のマンゴー栽培用の防除ロボットを開発した。農家にも意見を聞き、使いやすさを追求。葉裏まで薬剤が届き、ハウス内でも木を傷つけない小型ロボットを製作した。「いつか商品化したい」と夢を膨らませる。

高さ60センチ、横幅50センチ、全長80センチの機体がクローラーを回し、ハウス内をゆっくり動く。木の前に進むとノズルが伸びて枝の下に潜り込み、葉裏に薬剤を散布する。一連の動きは全て遠隔操作できる。

各種機能や形状は全て、「ロボット作りが小さい頃からの夢」と口をそろえる2人が自ら考え、具現化した。

2人は大学院工学研究科修士課程1年生。祖父母が運転するトラクターを目の当たりにして、農機にも憧れていた魚住さんの意向もあり、「宮崎を代表する果実のマンゴーの現場で役に立つロボットを作りたい」との考えで一致。大学の「とっても元気!宮大チャレンジ・プログラム」の助成を受け、2022年度から開発を始めた。

論文などからドローンなど防除機器の課題を調査。葉裏まで薬剤がかかりにくいことを知り、枝の下に潜り込むノズルを発想した。

「現場の意見も聞く必要がある」と考え、マンゴー農家を探し、宮崎市で45アールを栽培する緒方廣秋さん(79)と出会った。「コストパフォーマンスが良く、作物を傷つけない背の低いロボットがいい」との意見を受け、部品は100円ショップなどで調達。動力はバッテリーにするなどして小型化した。

魚住さんは「ネット上の情報とも違う生の声を聞けて、役立つロボットに大きく近づいた」と緒方さんに感謝する。緒方さんは「きっと日本の農業を救う」と太鼓判を押す。

散布量が限られるなど効率の面でも課題は多い。魚住さんは「もっと改良し、メーカーと組んでいつか商品化したい」と思い描く。 岩瀬繁信

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