マルケスのシリーズ初勝利と王者ペーニャが席巻。ルノースポール勢が完全制圧/TC2000第5戦

 最高出力で500PSに迫ろうかという2リッター直列4気筒直噴ターボを搭載する“世界最速”のFFツーリングカー選手権、TC2000(旧スーパーTC2000)の2023年シーズン第5戦が、アルゼンチンはサンタフェ州サンホルヘに位置するスピードウェイ・パークで開催され、ルノー陣営のアクシオン・エナジー・スポーツTC2000が躍進。FP1を除いて全セッションを制覇し、ファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)が予選ポールポジションからシリーズ初勝利を達成した。続くレース2も昨季自らの最年長王者記録を更新したリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が勝利を挙げ、ブランドにとって大成功の週末を締め括った。

 前年度のシリーズ覇者として君臨するルノー陣営を筆頭に、シボレー陣営のYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングや、ホンダ陣営の新生YPFホンダRVレーシング、そしてTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)など、地元法人のファクトリー支援を受ける強豪が参戦するシリーズは、大規模改修を受けたサンホルヘのトラックで6月3~4日の週末に第5戦を迎えた。

 そのFP1こそ、プライベーターであるオクタノス・コンペティションの伏兵マルセロ・チャロッキ(フィアット・クロノスTC2000)が最速タイムを叩き出したものの、持ち込みセットを改善したFP2からはルノースポール陣営が席巻。ここでトップタイムを記録した王者ペーニャに続き、ランキング6位以下のドライバーのみ出走が許されるFP3で首位に立ったマルケスが、今季初参戦のTC2000でわずか5戦目にして初のポールポジションを獲得した。

 僚友のマリアーノ・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)を従え、日曜決勝の最前列からレースを始めたルーキーのマルケスは、最初から最後までクルマとタイヤのケアをし、要所で“プッシュ・トゥ・パス”を正確に作動させる見事なパフォーマンスでチェッカー。その防御役に徹したマリアーノは、フランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)に先行されチームのワン・ツーこそ崩されたものの、マルケスがシリーズの歴史に加わる初勝利をポール・トゥ・ウインで決めてみせた。

FP1ではプライベーターであるOctanos Competiciónの伏兵マルセロ・チャロッキ(フィアット・クロノスTC2000)が最速タイムを叩き出す
ホンダ陣営の新生YPF Honda RV Racingは、エース、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)が予選3番手に喰い込む
決勝レース1はシボレー陣営のYPF Elaion Auro Pro Racing、フランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)がルノーの牙城を切り崩す
ファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)が予選ポールポジションからシリーズ初勝利を達成した

■2冠王者ペーニャが通算29勝目をマーク

 続いて姉妹カテゴリーの“TC2000シリーズ”とセッションを共有したレース2は、7番手からスタートを切った2冠王者ペーニャがさすがのドライブを披露。1号車のルノー・フルーエンスGTは強力なレースペースで前を行くライバルを捉え続け、こちらも“プッシュ・トゥ・パス”を適切に管理してカテゴリー史上3番目の記録となる通算29勝を達成してみせた。

 その背後では、連続2位表彰台でランキング3位に浮上したヴィヴィアンと、かつてのルノー在籍時代にシリーズ連覇を経験するホンダのエース、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)が続くポディウムに。

 この結果、ランキング首位は引き続きペーニャが維持し、背後に16点差として18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が続く結果に。以下ヴィヴィアン、アルドゥソ、そしてTOYOTA GAZOO Racing teamのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)が5位に続く展開へと変わっている。

レース2は姉妹カテゴリーの”TC2000シリーズ”とセッションを共有した
7番手からスタートを切った”2冠”王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT/左下)が躍進。若手有望株イグナシオ・モンテネグロ(右下)との直接対決も制した
TOYOTA GAZOO Racing Argentina(TGRA)は週末のポディウムなしと、今季は苦戦が続く
レース2はルノー、シボレー、ホンダによるマルチブランドの表彰台となった

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