白熱球、蛍光灯、LEDそれぞれの発光の違いってなんだろう?【すごい物理の話】

電球の面白い仕組み

まず、白熱球の光る仕組みを考えてみましょう。電球に電流を流し続けるとタングステンのフィラメントが3000℃ほどになり、高温になることで白く光るようになります。なぜそうなるかは次ページにまとめてあるので参考にしてください。

蛍光灯では、電極のフィラメントに高い電圧をかけ、電子を飛び出させ対面の陽極側へ放電させます。蛍光管に封入された水銀蒸気の原子に電子が衝突し、水銀が紫外線を放射するのです。そして、ガラス管内壁に塗布された蛍光物質に紫外線が入射すると可視光を発光します。また、蛍光物質によって発光する色が異なります。周囲環境温度が20〜25℃で効率よく発光するように設計されているので、低温となる冬場では水銀蒸気の分圧が低くなり発光効率が落ち、暗くなることがあります。

高輝度放電(HID)ランプ(High IntensityDischarge Lamp)は、高圧の金属蒸気中のアーク放電によって発光するものです。ナトリウムやスカンジウムなどの金属ハロゲン化物(メタルハライド)を発光物質として封入したものにメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀ランプなどがあります。

LED(発光ダイオード)チップの基本構造は、P型半導体(電子の足りない正孔が多い半導体)とN型半導体(電子が多い半導体)が接合された「PN接合」で構成されています。P側のプラス電極をN側のマイナス電極につないで電流を流すと、正孔(ホール)に電子が入って結合する際に余ったエネルギーが光として放射されます。これが発光原理です。LEDの発光色はチップに使われる化合物に依存します。アルミニウム・ゲルマニウム・ヒ素の化合物では赤、インジウム・ゲルマニウム・窒素の化合物では青といった具合です。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修

物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!

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