「弁慶記」が最優秀賞 FM田辺、放送文化基金賞ラジオ部門で

「弁慶記」のCD

 放送分野の優れた番組を表彰する第49回放送文化基金賞(主催・公益財団法人放送文化基金)が7日発表され、ラジオ部門の最優秀賞に和歌山県田辺市の地域FM「FM TANABE(田辺)」が制作した講談風大河ラジオドラマ「弁慶記」が選ばれた。「企画・演出・脚本賞」も受賞した。

 過去1年間に放送したテレビ、ラジオ番組、出演者らを対象にした賞で、ギャラクシー賞と並び日本の放送業界で最も権威のある賞の一つ。「弁慶記」はギャラクシー賞でも優秀賞を獲得している。

 弁慶記は、田辺市出身とされる平安末期の僧兵、武蔵坊弁慶が激動の時代を駆け抜ける姿を描いた。講談師の語りと声優の演技で構成。地元住民70人以上が声優として参加した。1話約10分で、全60話。22年3月から5月に放送した。

 選考では「講談という古典的な手法が、ラジオドラマに新しい可能性を呼び込んだ。地方の聴取者を巻き込んで、長いドラマを飽きさせず完成させた」と評価。「しかも、小さなコミュニティーFM放送局の制作だったことも驚き」と講評している。

 ドラマ「エルピス」(関西テレビ)主演で演技賞の長澤まさみさん、「ドラマ10 大奥」(NHK)で脚本賞の森下佳子さんらと並び、企画・演出・脚本賞に選ばれたFM田辺の大﨑健志さん(37)は「地域と一緒に作り上げた作品が高く評価され、光栄。これを励みに、より地域に必要な放送を届けていきたい」と話した。

■弁慶記を再放送

 FM田辺は「弁慶記」を再放送している。平日午前7時半~、総集編は土曜午後1時~。出演者による座談会などが楽しめる特別番組も25日午後1時から放送する。

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