福島原発汚染水の海洋放出問題で談話発表 在日中国大使館

 在日中国大使館報道官は7日、その公式サイトを通じ、福島原発放射能汚染水の海洋放出問題について談話を発表した。談話の全文は次の通り、

 最新の検出結果によれば、福島原子力発電所の湾内で捕獲された魚類の体内に含まれている放射性元素セシウムは基準を超え、日本の法定基準の180倍に達しており、これは驚くべきことだ。同時に、報道によれば、日本側は先ごろ福島第一原発の放射能汚染水を海洋放出するためのトンネルへの海水注入を開始した。これらの海水は間もなく放出する放射能汚染水を希釈するのに用いる。日本の独善的行為には憤りを覚える。

 福島放射能汚染水の海洋放出の危害は計り知れないものだ。福島放射能汚染水には60種類余りの放射性核種が含まれ、多くの核種はまだ有効な処理技術がなく、寿命の長い一部の核種は海流に乗って拡散し、生物に蓄積される可能性がある。福島原発放射能汚染水は国境をまたぐ影響があり、現時点の情報からみると、海洋放出の期間は30年の長きにわたって続く見通しである。研究結果によれば、海洋放出の日から57日以内に関連の放射性物質が太平洋の大半のエリアに拡散し、10年後には全世界の海域にまん延するという。

 日本はいまだに十分な科学的根拠と事実による根拠を示しておらず、その海洋放出案の正当性、浄化装置の有効性、放射能汚染水のデータの信頼性、環境への影響の不確実性などの面における国際社会の懸念が払しょくされていない。放射能汚染水の処理に用いる多核種除去システム(ALPS)の長期高負荷運転の性能と効率には疑問が残る。

 福島放射能汚染水の海洋放出は唯一の選択肢ではない。原発事故の汚染水を海洋に放出することは世界的に前例がない。調べたところによれば、海洋放出のほか、地層注入、水蒸気放出、水素放出、地下埋設も実行可能な選択肢である。日本が他の処理案を真剣に検討、論証せず、コスト面を考慮して海洋への放出を決め、それで済まそうとするのは無責任な行為だ。

 一般国際法や「国連海洋法条約」などの規定によれば、日本には環境汚染を回避するあらゆる措置を講じる義務があり、影響を受ける可能性のある国に通知し、十分協議する義務があり、環境への影響を評価し、モニタリングを行う義務があり、危険最小化を確保する予防措置を講じる義務があり、情報の透明性を保障する義務があり、国際協力を行う義務がある。

 放射能汚染水の海洋放出は海洋環境の安全および人類の生命と健康に関わるものだ。この重大な問題において、日本は慎重の上にも慎重でなければならず、福島原発事故の災害を継続させてはならず、全人類の子々孫々にリスクを負わせることがあってはならない。〔東京6月7日発中国通信〕

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