ヘルパンギーナ急増 県内、流行早く昨年の25倍

  ●夏、子どもに多いウイルス性咽頭炎

  ●コロナ反動か、RSウイルスも増

 石川県内でウイルス性咽頭炎(いんとうえん)「ヘルパンギーナ」の患者が急増している。子どもが夏にかかりやすいとされるが、今年は4月から増え始め、4日時点の患者報告数は384人で、昨年同時期15人と比べ25倍以上となっている。

 秋冬に流行するRSウイルス感染症も増えており、専門家は、感染対策が徹底されたコロナ下の反動で急増している恐れがあるとして、手洗いなどの対策を呼び掛けている。

 県によると、定点医療機関からのヘルパンギーナの患者数は今年、15週(4月10~16日)から急増し、21週(5月22~28日)は115人、22週(29日~6月4日)は105人となった。

 ヘルパンギーナは夏かぜの代表的疾患とされ、主な症状に発熱や口の中に水疱(すいほう)性の発疹がある。まれに髄膜炎や心筋炎など重篤化するケースがある。

 RSウイルス感染症は1月下旬~3月上旬に流行した後、5月から再び増加傾向にあり、4日現在、計556人で昨年同期の43人をはるかに上回る。発熱やせき、鼻水など風邪に似た症状が見られ、乳児の場合、重症化して気管支炎や肺炎が起きる恐れがある。

 手足口病の患者数も4日現在、計173人となり、昨年同時期の52人より大幅に増えている。

  ●「社会全体の免疫低下した可能性」 谷内江金大特任教授

 ヘルパンギーナやRSウイルス感染症などが増加する要因について、小児科が専門の谷内江昭宏金大特任教授は「社会全体で持っていたはずの免疫が低下している可能性がある。集団免疫を獲得すれば、流行期を除いて収束する」との見通しを示した。

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