高級品ブランド「ファビオ・ランボルギーニ」、兵庫・三木の「小林木工」がコラボ…オファー受けできた家具は?

「FL/KOBAYASHI」のロゴが入った高級家具と、小林木工の小林朋弘社長=三木市別所町東這田

 兵庫県三木市別所町東這田の家具メーカー小林木工と、イタリアの高級品ブランド「ファビオ・ランボルギーニ」によるコラボ家具「FL/KOBAYASHI」シリーズの国内販売が始まった。近未来的なデザインに数々の仕掛けを施し、魅せ方を突き詰めた逸品。オーダーメードのため、1千万円を超える物もあるが、ホテルや百貨店などから注文が届き、全世界から注目を集めている。(長沢伸一)

■ランボルギーニの創業者一族

 ファビオ・ランボルギーニ氏は、高級スポーツカーで知られるランボルギーニの創業者一族に生まれた。現在は、自らの名を冠した個人ブランドを立ち上げ、ワインやビールなど世界の富裕層に向けた事業を展開している。

 小林木工は1924年(大正13)年、三木市で創業した。最初はかんな台、その後はふすまや木製建具などを手がけ、3代目の小林朋弘社長(58)の時代に家具や大工工事事業へと大きく転換。設計事務所の依頼に応じ、ホテルやレストランなど、空間の雰囲気にふさわしい家具を考案、制作してきた。

■至高のロッカー? 玉手箱??

 培った経験を生かし、2021年2月、高級家具ブランド「コフレカ」を設立した。普段は高級感漂う、高さ約2メートルのロッカーのような箱。それを開くと、部屋の中に別世界が広がる-小林社長が「玉手箱」と表現する、魅せ方にこだわったシリーズだ。

 同年秋、ファビオ氏側からコラボの話があり、コフレカシリーズの3点を用意。22年夏に正式契約し、同年秋に全米発表し、今年3月に国内販売を始めた。

 観音開きの扉を開けばバーが登場するタイプは「ミニバー」。ワインホルダーのほか、音響設備を備え、自分の好みの曲をスピーカーから流すことが可能。これ一つで部屋のムードを一変させ、さまざまな雰囲気を演出できる。

 中からミニオフィスが出現する商品は「トランスビューロ」。机やライト、音響スピーカー…。部屋の中にさらに自分だけの空間を実現できる。

 「ワンダーシャトル」と名付けた腕時計保管庫には、昇降ギアを採用。自動的に箱の上部が上昇し、ワインセラーのようなディスプレーが姿を現す。近未来志向のデザインで箱に入れたまま腕時計を輝かせる。

■来年で100周年、職人文化を次世代へ

 小林社長には、今回のコラボが業界の活性化につながれば-という願いがある。「金物のまち」と呼ばれる三木市でも、職人の廃業が相次ぎ、後継者となる若手は少ない。「ランボルギーニの名前は多くの人が知っている。そのコラボ家具を作れることは、若い人が職人を目指す際のきっかけになると思う」

 小林木工は来年100周年を迎える。「ものづくりが楽しい、という思いが原点。日本に受け継がれてきた職人文化を次世代につなげ、地位を向上させたい」。小林社長は力を込めた。

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