「呪い」も「不平等」も乗り越えて フェービー・ヤオを変えた2年間

ロケットスタートは不穏…らしい(撮影/和田慎太郎)

◇国内女子◇宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 初日(8日)◇六甲国際GC(兵庫県)◇6513yd(パー72)◇曇り時々雨(観衆3031人)

台湾では、朝イチでスコアを伸ばすと不吉だと言われているらしい。「最初にバーディを獲ると、その日はあまり良くないっていう“呪い”みたいな話がある」とフェービー・ヤオ(台湾)。それなのに、1番(パー5)で気持ち良く見送った3打目がそのままカップに消えてしまった。

昔なら肝を冷やしたかもしれない。この日は「なーんにも感じなかった」と笑って受け流し、勢いを止めることなく1イーグル6バーディ、1ボギーで「65」をマーク。「アンラッキーもなく、ずっと安定していた」と首位と2打差の2位につけた。

振り返ると、怒ったり落ち込んだりすることが減ったのは2年前からだ。「外国人選手として、不公平」とぶつけようのない怒りを覚えたのは、コロナ禍で迎えた2020年。その前年に13年から保持したシードを手放し、19年末に受けたQTを1位で通過したがコロナで入国できず、20-21年シーズンで出場できたのは3試合のみ。2度の予選落ちと棄権で賞金を上積みできず、悶々(もんもん)と22年シーズンを迎えた時にメンタルコーチとの出会いがあった。

台湾ゴルフ界で知られているという季力健氏とのカウンセリングで、考え方が大きく変わった。「コロナは全員にとって初めてのことで、仕方がないこと。起こってしまったことに囚われても意味がないから、未来のために何ができるか考えるようになった」と切り替える術を学んだ。

QTランク55位で迎えた昨年、ステップアップツアー「ユピテル・静岡新聞 SBS レディース」で優勝。QTランク3位からシード復帰を目指す今季は、10試合を終えて5試合で予選落ちとまだ結果を残せていないが、「つらいはつらいけど、自分のプレーを考えるようにしている」と話す表情は明るい。「ツアーのレベルが上がっているし、自分もすごく頑張ってる。努力してるんだから」と結果に左右されることが少なくなった。

「あしたはベストスコア、更新したいね」と目指すは12年「アース・モンダミンカップ」で出した「64」。根拠のない迷信なんて、怖くない。(神戸市北区/谷口愛純)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン