明るい少女が過酷な労働環境に疲弊して自死 捜査する刑事 「あしたの少女」特報

2023年8月25日より劇場公開される、「私の少女」のチョン・ジュリ監督による8年ぶりの最新作「あしたの少女」の、特報映像が公開された。

特報は、ソヒ(キム・シウン)がダンスの練習に励む姿が映し出されると画面が二分割され、分割された画面の一方でソヒが携帯をのぞき込めば、まるでその姿に呼応するかのようにもう片方の画面にソヒの足跡をたどるユジン刑事・ユジン(ペ・ドゥナ)が何かをのぞき込む姿が映し出されるなど、2人の対比が強調されている。本編が2部構成であることと、ひとつの事件をふたつの視点で描くという映画の特徴を生かしたユニークな映像となっている。

「あしたの少女」の舞台は、現在の韓国。高校生のソヒは、担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社を紹介され、実習生として働き始める。しかし、会社は顧客の解約を阻止するために従業員同士の競争をあおり、契約書で保証された成果給も支払おうとしなかった。そんなある日、指導役の若い男性チーム長が自殺したことにショックを受けたソヒは、自らも孤立して神経をすり減らしていく。やがて凍てつく真冬の貯水池でソヒの遺体が発見され、捜査を担当する刑事ユジンは、彼女を自死へと追いやった会社の労働環境を調べ、根深い問題をはらんだ真実に迫っていく。

2017年に韓国で実際に起こった事件をモチーフに、ダンス好きの明るい少女が想像を絶する過酷な労働環境に疲弊し、ついには自死へと追いやられていく姿をリアリティをこめて描いている。また映画は2部構成となっており、ソヒが実習生としてコールセンターで働く前半のパートは、物語のベースになった実際の事件を忠実に再現。もうひとりの主人公、刑事ユジンが登場する後半はチョン監督の創作で、韓国の労働問題を追及してきたジャーナリストらに触発され、ユジンのキャラクターを構築したという。

事件の真相究明に執念を燃やすユジンを演じるのは、是枝裕和監督作「ベイビー・ブローカー」などのペ・ドゥナ。「私の少女」でタッグを組んだチョン監督は、当初からペ・ドゥナの起用を想定して脚本を執筆したという。ソヒ役には新進女優のキム・シウンが起用され、競争社会の底辺であえぎながら懸命に生きようとした少女の心情をリアルに表現している。

【作品情報】
あしたの少女
2023年8月25日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開
配給:ライツキューブ
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