トヨタの2台は3、5番手から100周年ル・マンの決勝へ「我々は最速ではない」「フェラーリが速すぎた」

 フランス、ル・マンのサルト・サーキット(ル・マン24時間サーキット)で開催されているWEC世界耐久選手権第4戦『第91回ル・マン24時間レース』は6月8日(木)に最終予選セッションのハイパーポールが行われた。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は最高峰クラスで7年連続のポールポジション獲得に挑んだが、ブレンドン・ハートレー駆る8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ハートレー/平川亮組)が3番手、小林可夢偉が乗り込んだ7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)は5番手となり、10日(土)にスタートする決勝をそれぞれ2列目、3列目から開始することとなっている。

 ディフェンディングチャンピオンとして今季100周年を迎えたル・マンに臨んでいる8号車は、2度目のタイム計測を赤旗に阻まれながらもセッション終盤のアタックによって3分24秒451を記録。ハートレーのアタックによって総合3番手につけたこのタイムは、圧倒的な速さでフロントロウを独占したフェラーリAFコルセ勢の一角で、今大会のポールシッターとなった50号車フェラーリ499Pのポールタイムと1.469秒差だった。

 一方、8号車と同様に、赤旗提示によって2度目のアタックを止めざるを得ない状況となった7号車はセッション再開後、姉妹車とともに最後のタイム計測に入る。ここで可夢偉は3番手タイムをマークするも、トラックリミット違反をとられ当該タイムが抹消に。このためセカンドベストの3分24秒933が採用され、3列目5番手グリッドから決勝レースをスタートすることとなった。TGRのマシンがル・マンで最前列以外からスタートするのは2016年以来のことだ。

 ポールポジション争いとは別に、ハイパーポールを間に挟むかたちで設定された2回のプラクティスでは、決勝レースへ向けた懸命な車両セットアップ作業が進められた。3時間にわたって行われたFP3では大きなトラブルもなく、7号車は3番手、8号車は4番手となった。

 日没後の22時から23時にかけて行われたFP4では、多くのチームの慎重なアプローチがそのままラップタイムに反映される結果となり、7号車はロペスのタイムで6番手。僚友8号車はブエミが記録したタイムで14番手となっている。

 決勝前日の9日(金)は休息日となりコース上での走行予定はない。しかしチームにとっては重要な一日となる。メカニックたちは2台の車両を整備し直し、長い長い決勝レースへ向けたセットアップと戦略を詰めていくのだ。その決勝は10日(土)正午から行われる15分間のウォームアップ走行を経て、現地時間16時(日本時間23時)にスタートが切られる予定となっている。

7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス) 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース

■小林可夢偉「僕らにとっては困難なタイムでした」

「最終的に3番手グリッドを獲得できたことには満足している」と語るのは、ハイパーポールで8号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブしたハートレー。

「フェラーリの2台が速すぎ、グリッド最前列獲得は不可能だった。彼らのポール獲得に祝福を贈りたい。僕の最初のアタックはそれほど好感触ではなく、ラップタイムもあまりよくなかった。次のアタックはとても良い感触だったので、赤旗に阻まれることになってしまい残念だったが、最後はクリーンな状況でアタックができたよ」

「ベストなラップではなかったが、3番手グリッドを獲得できた。最善を尽くしたので、ポールを獲得できれば良かったけれど、3番手は悪くない結果だ。みんなが知っているとおり、決勝レースはまったく別だし、気持ちを切り替える必要がある」

「今シーズン、我々は決勝での戦い方やチームワークで結果を残してきたので、それをまた披露する時だと思う。チーム一丸となり、これまでのすべての経験を活かし、日曜日にトップを取るために集中しなくてはならない。戦う準備はできているよ!」

 予選とハイパーポールでともに7号車トヨタGR010ハイブリッドのアタックドライバーを務めた可夢偉兼任代表は、「今日は全力を尽くしましたが、現実的には我々にポールポジションのチャンスはありませんでした」と語った。

「ポールポジションを獲得したフェラーリを祝福します。彼らのラップタイムは非常に速く、僕たちにとっては困難なタイムでした。もちろんル・マンでのポール獲得は特別なものであり、そのために私も可能な限りハードにアタックしましたが、やや攻めすぎてトラックリミット違反を取られてしまいました」

「レースは長時間にわたるので、ポールでなければ、3番手と5番手というスターティンググリッドにあまり意味はなく、決勝レースはまったく別物になることもあり得ます」

「今日の結果から、1周のアタックという点では我々は最速ではなく、決勝も容易な戦いにはならないでしょうが、24時間レースで勝つためにはチームスピリット、正しい戦略、そしてミスなく戦うこと、そのすべてが必要です。日曜午後のチェッカーへ向け、ベストを尽くすだけです」

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