近年問題になっている「あおり運転」をしやすいのはどんな人なのか?【社会心理学】

敵意帰属バイアスが強い人ほど攻撃的になる

近年、あおり運転が社会問題となっています。2016年にJAFが行った交通マナーに関するアンケート調査によると、あおり運転をされたことが「よくある」「ときどきある」と答えたドライバーは全体の54・5%にも上りました

あおり運転は車線変更や追い越しなど、些細なことがきっかけで起こりやすいとされています。しかし、たとえイラっとすることがあっても、普通は大事故につながる危険行為には出ないものです。些細な行為で攻撃行動に出てしまうのは、どのようなタイプの人なのでしょうか?

これについて社会心理学的には「敵意帰属バイアス」が強い人といえるかもしれません。敵意帰属バイアスとは相手にされた行為を、敵意や悪意から生じたものと捉える傾向のことです。

たとえば、朝のラッシュ時間にホームで人とぶつかったときに、敵意バイアスの弱い人は「混んでいるから仕方がない」とか「ぶつかったのは自分の不注意もある」と考えるのですが、敵意バイアスが強いと「わざとぶつかってきた」と考え、相手に対する攻撃行動に出る可能性も高くなるのです。

実際、敵意帰属バイアスの強い人ほど攻撃行動に出やすいという研究結果もあります。

A・ドッジらは殺人、暴行、強盗といった犯罪で逮捕された青年を対象に、一般的には敵意がないと考えられる行為に対し、彼らがどのくらい敵意を見出すかの調査を行ったところ、敵意帰属バイアスの強い青年ほど、犯罪件数も多いことが明らかとなりました。

このように敵意帰属バイアスと攻撃行動には密接な関係があるのです。

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多数派の意見に同調してしまうのはどうして?

日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。

この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。

明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう

この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした

ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。

会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。

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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

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