ULA、新型ロケット「ヴァルカン」第1段の発射台でのエンジン点火試験を実施

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は日本時間6月8日、同社が開発中の新型ロケット「Vulcan(ヴァルカン)」第1段のエンジン点火試験(Flight Readiness Firing:FRF)を実施しました。ULAによれば、試験は成功裏に完了したということです。

【▲ ケープカナベラル宇宙軍基地第41発射施設で実施された新型ロケット「Vulcan(ヴァルカン)」第1段のエンジン点火試験の様子(Credit: United Launch Alliance)】

VulcanはULAが運用してきた「Atlas V(アトラスV)」の後継機として開発が進められてきたロケットです。2023年に予定されているVulcanの初打ち上げでは、アストロボティックの月着陸船「Peregrine(ペレグリン)」やアマゾンの衛星コンステレーション計画「Kuiper(カイパー)」の試験機が搭載される予定です。

米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第41発射施設で実施された今回の試験では、日本時間2023年6月8日10時5分(米国東部標準時6月7日21時5分)に、Vulcanの第1段に2基搭載されるブルー・オリジンの液体燃料ロケットエンジン「BE-4」が発射台で点火されました。

【▲ ULAがライブ配信したエンジン点火試験の様子(カウント10秒前付近から)】
(Credit: United Launch Alliance)

ULAによると、BE-4エンジンの始動シーケンスはカウント4.88秒前から始まり、目標レベルまで2秒間のスロットルアップを行った後に停止しました。今回の試験はエンジン始動からシャットダウンまで約6秒間という短いものでしたが、今年予定されているVulcanの初打ち上げに向けた重要なマイルストーンとなります。

ただ、2023年3月にはアメリカ航空宇宙局(NASA)のマーシャル宇宙飛行センターで行われていたVulcanの第2段「Centaur V(セントールV)」の試験中に水素が漏洩して爆発する出来事が起きています。これを受けてVulcanの初打ち上げは5月から6月~7月以降に延期されましたが、状況次第ではスケジュールにさらなる影響が及ぶ可能性があります。

【▲ Centaur Vの試験中に発生した爆発の動画をシェアしたTory Bruno氏(ULAの社長兼CEO)のツイート】

ULAによればVulcanの認定プログラムは98パーセント完了していますが、最終的なCentaur Vの試験に関連したものが残されており、今回実施されたエンジン点火試験のデータレビューと並行してCentaurの試験中に発生した異常の調査も続けられるといいます。海外メディアのSpaceNewsは、Centaurに変更は必要なしと判断されれば夏の後半にVulcanの初打ち上げが実施される可能性はあるものの、仮に改修が必要だと判断されれば初打ち上げは今年の後半にずれ込むことになると報じています。

Source

  • Image Credit: United Launch Alliance
  • ULA \- Vulcan: Preview of the Flight Readiness Firing
  • ULA \- @ulalaunch (Twitter)
  • SpaceNews \- Vulcan performs static-fire test

文/sorae編集部

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