大手企業、社員が「農で副業」 長野・山形で実証 1日単位、アプリ活用

長野県と山形県で、大手企業で働く社員が副業やボランティアとして農作業をする仕組みの実証が始まる。既に普及している1日農業バイトアプリ「daywork(デイワーク)」を活用し、気軽に参加できるように工夫。企業が関わることで生産者、働き手双方の不安を解消し、農業の働き手確保や関係人口の増加につなげたい考えだ。

農水省などが9日発表した。JA長野県農業労働力支援センターと山形県農業労働力確保対策実施協議会が、農水省の支援事業を活用して行う。両者は既にアプリを活用して、農家の働き手確保を進めている。同センターによると、アプリを活用して企業の社員が副業で農業をする実証実験は全国で初めて。

実証実験には長野県ではJR東日本、KDDI、中部電力が参加を表明。山形県ではJR東日本、NTT東日本、東北電力が連携して実証する。

これら企業の社員がアプリでのマッチング後、副業やボランティアとして農作業に当たる。リンゴやブドウ、サクランボの摘果、摘粒、収穫などの作業を想定する。

JR東日本は社員が働く環境の改善に向けて、アプリの法人向け機能のニーズ調査や改善にも関わる。

長野県ではアプリ「daywork」の活用が進むが、同センターによると、受け入れ側の農家には「どんな人が来るのか分からない」「作業者への説明が難しい」との不安があった。県内では作業内容を説明する動画の作成も進める。

同県では、3企業以外にも実証実験に参加する企業を県内外問わず募る。同センターと3企業は26日、長野市のJA長野県ビルで説明会を開く。

センター長を務めるJA長野中央会の新芝正秀常務は長野市での会見で「企業連携を通し多くの人に農業に従事してほしい。信州と関係を持てて良かったと思える人を増やし、農業・食料への理解につなげたい」と述べた。

© 株式会社日本農業新聞