<南風>園の雇用形態を増やそう(2)

 まずは前回のおさらいね(5月27日掲載)。いまだ抱える保育士不足問題は「外部委託契約」という解決策があり、保育園・保育士双方でメリットがあるよ、とお伝えしました。で、今回は、逆にデメリットや、この解決策が広がらない理由を書いてみるね。

 【園側のデメリット(1)】各自治体や児童育成協会などに問い合わせしたり確認・調整が必要になったりすること。行政への書類上、これまで雇用していた保育士同様に扱って良いのか? 監査などで指摘されないか? 「そこまで時間やリスクをかけるなら今のままでいいや」になるかも。

 【保育士側のデメリット(1)】フルタイム・パートタイム雇用と違い、契約期間を定めることが多く、「いつ(契約が)解除されるか不安」なことかな。園の経営状況によっては「先生すいません…新入園児の入園が少なくて…3カ月後に契約を…」ということも。保育士側から申し出があれば園側のデメリットにもなり得る。

 【園側のデメリット(2)】前例を作ることで基準を設けることになる。外部委託契約を一度でも結ぶと「(これまでの雇用形態で勤務していた先生が)私も外部委託にしたいです」と申し出があった場合、要件や、場合によっては評価制度などを設ける必要があるかも。「この先生だけOK」というわけにはいかないからね。就業規則に追記・職員への周知も伴うよね。

 【保育士側のデメリット(2)】社会保険上の手続きを自ら行うこと。これまで園側で処理していた年末調整や住民税納付やその他社会保険の手続きや申告を自ら行うので先生方は、だいぶ抵抗があるかも。

 さ、だいぶ絞り保育園の外部委託契約について書いたけど「保育士不足解消」の手だてになるかな? 今後、保育士・保育園が生き残る選択肢の一つと捉えてもらえるとうれしいな。

(玉城伸悟、tetote代表 主任保育士)

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