三つの「リボンの騎士」紹介 誕生から70年で企画展、直筆原稿など150点展示 手塚治虫記念館 兵庫・宝塚

手塚治虫さん直筆の「リボンの騎士」の原稿が展示された会場=宝塚市立手塚治虫記念館

 漫画家手塚治虫さん(1928~89年)の代表作「リボンの騎士」が誕生して今年で70年を迎え、兵庫県宝塚市武庫川町の市立手塚治虫記念館で特別企画展が開かれている。1950~60年代に少女向け雑誌で連載された3作品を紹介。手塚さんの直筆原稿など約150点が展示され、作品ごとに違う運命が描かれた主人公サファイアの波瀾(はらん)万丈の物語が楽しめる。(西尾和高)

 「リボンの騎士」は53~56年、雑誌「少女クラブ」に連載された。少年時代を宝塚で過ごした手塚さんは歌劇をよく鑑賞し、タカラジェンヌからサファイアの着想を得たという。男女二つの心を持ち、王子として育てられたサファイア王女の恋や冒険を描く。日本のストーリー少女漫画の第1号とされ、瞳の中に輝く星を描く表現手法など、後の少女漫画に大きな影響を与えた。

 続いて58~59年、雑誌「なかよし」に続編が連載された。フランツ王子と結婚したサファイアは双子の母親となって登場し、単行本化された60年に「双子の騎士」と改題された。

 63年には少女クラブ版のリメーク「リボンの騎士」として、再び「なかよし」で連載が始まった。約3年間掲載されたが、登場人物やストーリー展開などが異なる。67年にはテレビアニメで放映され、人気を集めた。

 特別企画展「リボンの騎士 3人のサファイアの物語」は市などが主催する。会場では「少女クラブ」と「なかよし」で描かれた同じ場面の原稿をそれぞれ並べ、サファイアの表情や背景の絵柄、セリフなどの違いを見比べられる。少女雑誌に掲載された扉絵もあり、愛らしくも、りんとした表情が楽しめる。

 手塚さんは生前、「リボンの騎士」について「宝塚歌劇体験の総決算」と語るなど、思い入れが強かったことがうかがえる。同記念館は「宝塚歌劇の雰囲気を少女漫画に置き換えて描かれたファンタジー作品。多くの人に鑑賞してほしい」としている。25日まで。大人700円、中高生300円、小学生100円。月曜休館。市立手塚治虫記念館TEL0797.81.2970

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