復興の黒煙、最後まで責務全う SL銀河、11日ラストラン

「楽しみにしてくれている人のために、機関士の責務を全うしたい」と語る菅原甲子郎さん=盛岡市・JR東日本盛岡車両センターSL検修庫

 復興のシンボル、迫る万感ラストラン。JR釜石線の観光列車「SL銀河」が11日、全国のファンに惜しまれながら最後の運行を迎える。東日本大震災を機に2014年から釜石―花巻駅間で黒煙を噴き上げ、岩手県民を勇気づけてきたが、客車の老朽化や部品調達が困難に。17年から機関士を務めるJR東日本社員の菅原甲子郎さん(40)は「最後まで責務を全うする」と、プロとして使命感を燃やす。

 汽笛を響かせて疾走する、黒く存在感ある車体。「ふと沿線の人が手や旗を振ってくれるのを見ると、泣きそうになります」。菅原さんは沿線住民の熱い支えに感謝する。

 SLと出合ったのは少年時代。出身地・盛岡市の県営運動公園内の交通公園に展示され、後にSL銀河として復活した「C58形239号機」だった。運転してみたいと憧れを抱いていたが「当時は夢のまた夢。本当に運転するとは思っていなかった」と振り返る。

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