BEGINに直談判「この曲を歌わせて」 「涙そうそう」ヒットから23年、夏川りみが故郷沖縄に寄せる思い

7月1日に神戸でコンサートを開く夏川りみ=大阪市内(撮影・小林良多)

 7月1日に神戸新聞松方ホール(神戸市中央区)であるコンサートを皮切りに、全11公演の全国ツアーに出る夏川りみ。来年デビュー25周年を迎える沖縄出身の実力派シンガーだが「地元ではまだ認めてもらえていない」と感じているという。「いつか認められるまで、島唄はずっと、ずっと歌い続けたい」と話す。

 石垣島出身。演歌歌手を経て1999年に再デビューした。その名を一躍知らしめたのが、2001年の3作目シングル「涙そうそう」だ。涼やかで郷愁を誘うメロディーは沖縄のバンドBEGINが手がけ、詞は森山良子が早世した兄を思い書いた。00年の九州・沖縄サミットでBEGINが披露し、夏川は心をわしづかみされ「この曲を歌わせてほしい」と直談判した。

 それから23年。「いろいろな人に『もう飽きたでしょ?』って言われるけど、とんでもない。いつも新鮮な気持ちで歌っている」と力を込める。初めて聴いた時の印象そのままに「歌い方を変えない」ことにこだわっている。

 涙そうそうとの出合いは、故郷の音楽と向き合うきっかけになった。三線を弾くようになり、民謡を少しずつ覚え、コンサートで披露してきた。昨年、沖縄を舞台にした曲が中心のアルバム「会いたい ~かなさんどぉ~」を発売。7月からのツアーでは涙そうそうはもちろん、同アルバムの収録曲、民謡などを歌う予定だ。「沖縄の心を皆さんに届けたい」と意気込む。

 25周年を前に、目標は「日本、海外のあちこちを旅して生の歌声を届けること。そして、一番難しい沖縄(の公演)でお客さんをいっぱいにすること」と語る。「やっぱり『歌の島』だからみんな耳が肥えている。認めてもらえたら島唄だけのアルバムを作りたいな」

 松方ホールでの公演は午後3時開演。7千円。小中学生2千円。同ホールチケットオフィスTEL078.362.7191 (藤森恵一郎)

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